大会名誉総裁としての“お悩み”

東京五輪が皇室に与えた影響とは? IOC・バッハ会長の言動、菅首相&小池都知事の“不起立”……皇室ウォッチャー怒りの解説

2021/08/28 14:00
サイゾーウーマン編集部
Getty Imageより

 「私は、ここに、第32回近代オリンピアードを記念する、東京大会の開会を宣言します」――コロナ禍での東京五輪開催を不安視する国民に寄り添い、「祝い」を「記念する」に変更された天皇陛下のマスク越しによる開会宣言。憲法第4条で「国政に関する権能を有しない」と定められている天皇が、祝意を明言することを回避したとして注目された。

 8月24日に開幕したパラリンピックでも、大会名誉総裁として天皇陛下が開会式に出席されたが、依然としてIOCや菅政権によって“皇室が政治利用されているのでは”と懸念する声は多い。今回の東京五輪が皇室に与えた影響とは? 皇室ウォッチャーX氏に解説してもらった。

開会宣言、天皇陛下は「さぞお悩みになられたでしょう」

――宮内庁の西村泰彦長官が6月24日の定例記者会見で、天皇陛下が「五輪・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないか、ご懸念、ご心配であると拝察しています」と述べました。これは皇室からのオリンピック開催に対する強烈なメッセージと受け取るべきでしょうか。

皇室ウォッチャーX氏(以下、X) 皇室からというよりは、天皇陛下のお気持ちを長官を介して世間に公表された形でしょう。陛下は皇后さまとともに、昨年3月頃から続くコロナ禍で困難な日々を送っている国民を案じてこられました。政府分科会の尾身茂会長をはじめ、コロナの専門家や深刻な影響を被った関係者たちともご接見やオンラインで話を聞くなど、国民に寄り添われてきたのです。

 政府主導である五輪開催には政治的介入となるので言及することはできませんが、確実に人の流れが生まれてさらなる感染拡大につながる恐れがあるため、東京五輪の名誉総裁として、長官を通して間接的にメッセージを発せられたのだと思います。

――雅子さまの開会式ご欠席、陛下による開会宣言の「記念」への文言変更からも、陛下の東京オリンピック開催に対する思いを強く感じました。

X 定型文が決められている開会宣言を変更することは異例で、陛下もさぞお悩みになったかと思います。たったの一語ですが、陛下は決して今回の五輪を「祝う」お気持ちにはなれなかったのでしょう。開会式の会場ではなくオンラインで開会を宣言される可能性も模索されたことでしょうが、この状況下でも海外のVIPが現場に来ることになった時点で選択肢から外されたのだと思います。コロナ禍でなければ、日本の皇后として雅子さまの存在を世界にアピールできました。しかし、あえて雅子さまは欠席されることで、「日本は新型コロナに対する危機意識が高い」ことを世界に伝えることができたと思います。

――陛下の開会宣言時に菅義偉首相と小池百合子都知事が不起立だったことが問題視され、オリンピック組織委員会側が後に「起立のアナウンスができなかったミスがあった」と謝罪しました。一部では「前回の東京オリンピックでは昭和天皇の開会宣言時は誰も起立していなかったから問題ない」という擁護もありますが、開会宣言時の不起立について、宮内庁はじめ皇室サイドは特に問題視していないのでしょうか。

X 天皇という存在は、皇后以下の皇族方とは「別格」です。陛下が何かおことばを述べられる際は、皇族方も当然立ち上がって恐縮されるのです。そんな中、菅首相や小池都知事が起立せずに開会宣言を聞いていたのは問題だと思います。皇族方や宮内庁の職員たちも、あぜんとしたのは想像に難くありません。個人的にはIOCのバッハ会長も、陛下との接見時に予定にない会話を始めたり、開会宣言を勝手に陛下へ振るなど、あり得ない言動ばかりで怒りを超えてあきれました。

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