『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』がんの病床でも明るく、暗くなるのが嫌な人「笑顔で生きよう~お母さんと僕の約束~」

2021/08/10 15:56
石徹白未亜(ライター)

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。8月8日の放送は「笑顔で生きよう~お母さんと僕の約束~」。

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『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 料理研究家の高木ゑみ、34歳。著書の一つ『考えない台所』(サンクチュアリ出版)は14万部を超えるベストセラーだ。7歳の一人息子と2人で暮らすシングルマザーでもある。コロナ禍でもオンライン料理教室を開くなど、精力的な活動を続けていたが、2020年10月31日、腰に強い痛みを覚え病院で検査をしたところ、ステージ4のがん(がんが発生個所とは別の部位に転移した状態。進行度で言えば一番重い状態)であることが発覚。腰痛は肺から転移したがんによるものだった。

 がん宣告からわずか3日後の11月2日、ゑみは病室からインスタグラムのライブ配信を行う。化粧をして髪を巻いた状態で、ガンを宣告された様子を明るい様子で伝えていた。『ザ・ノンフィクション』の取材もがんと闘う姿を記録してほしい、ということで始まる。

 その後もゑみは病室からインスタライブを更新していく。治療のために親知らずを抜いて顔が腫れた時の様子や、治療で吐き気がひどく食事が食べられない時につまんでいるおやつや、誕生日にプレゼントに囲まれた部屋の様子などを、常に明るく伝える。

 翌月12月15日、容体が安定しひと月ぶりに自宅に戻る。ただ、完治にはまだ時間がかかり、髪の毛も3分の1くらいが抜けた状態だと話していた。さまざまなウィッグを購入し、その様子も動画で配信、病床で差し入れでもらったグラノーラで思いつき、オリジナルのものを開発しようと今後のプランについても話していた。

 「シングルマザーだし死ぬわけにはいかない」とゑみは話していたが、離婚した元夫と息子はZOOMで会話をしているとのことで、「万が一のことを考えると、(元夫と)息子の距離をもっと近くにいてほしいと心から願うようになって、そこから私の接し方も変わりましたね」とも話す。

 がん発覚から約4カ月後になる21年2月22日、月1回の定期健診では(がんの)影も薄くなっており、血液検査の結果も良好とのこと。ゑみはオンラインセミナーで料理やテーブルコーディネートの情報を発信するなど精力的に日々を過ごす。

 しかし翌月の3月24日、体調が急変しゑみは再入院となる。入院前日の23日も動画配信をしていたが、その中では何度か咳込む様子も見られた。入院後は肺炎になりICUに移動、27日に呼吸器をつけたまま一般病棟に移るも、これは容体がよくなったからではなく、家族との時間を過ごすための病院側の配慮だった。ゑみはいつも通りメイクをして、息子と一緒に風呂に入るなど家族との時間を笑顔で過ごす。翌28日、ゑみは35歳で亡くなった。

考えない台所 / 高木 ゑみ 著
年を取るほど、明るい人の偉大さに気付かされる……
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