知られざる女子刑務所ライフ123

ムショは、「罪を反省しに行く場」ではない! 元女囚が考える「長期刑」の長期化

2021/08/08 16:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)

ムショに「ええこと」はひとつもないです

 強姦の犯人が長い懲役を務めるということは、獄中(なか)で年を取れば体力や性欲が落ちるから被害者が減る、ちゅうのもあります

 前からヤクザの重罰化はいわれてますが、最近はカタギの犯罪についても厳罰化していることは、あんまり喜べないです。理由は、更生にはならへんから。

 そもそもムショは、「罪を反省しに行く場」と違います。厳しい規則や懲役(受刑者)同士のいじめなどムショでの生活がツラすぎるので、「次はバレへんようにやる」と決意することはあっても、罪を悔いて更生する人は、まあ1割もいてません。瑠美も時間がかかりました。

 最近は、「昔のムショみたいな陰惨ないじめはない」といわれるようですが、どうですかねえ。懲役は新聞や雑誌は読めるので、すぐに「サイテーの強姦魔が来た!」と知れ渡ります。そもそも刑務官がみんなに教えてますしね。

 もちろん男子刑務所のほうがイジメはえぐいし、強姦犯はいちばんいじめられるそうです。殴ったり蹴ったりするとすぐにわかってしまうので、寝ている間に顔におしっ〇をかけられるとか、ごはんにウン〇をのせられるとかもアリです。あとはフェラチ〇の強制とかですね。「跡」にならない暴行なんですよ。

 いじめのほかに、病気の問題もあります。「タダで手術が受けられる」とか喜んでるのはシロートですね。まず具合が悪うても診てもらえるのは「3カ月先」とか普通ですし、がんとか重大な病気が見つかったら、かなり大変です。

 たとえば元弁護士の田中森一さんは、大阪医療刑務所でがんの手術を受けていますが、痛み止めももらえず、手術の翌日なのに医務室まで歩かされ、フラフラしてると「しっかり歩かんか!」と怒鳴られたそうです。

 ムショで悠々自適なんかありえないです。入らないようにしましょうね。けど、最近は「ムショに入りたくて」事件を起こす人が目立ちますよね。「ムショに入ってやり直したい」から女性をレイプしようとしたり「刑務所で自分を飼ってほしい」からレンガを持って小学校に侵入する人とか、「無期懲役」判決を受けて喜ぶ人とか、大丈夫かなと思いますね。

 懲役は甘いもんやないです。壮絶ないじめが待ってますし、独居房なら死ぬまで誰とも話せませんよ。

中野瑠美改め瑠壬(作家)

中野瑠美改め瑠壬(作家)

1972年大阪・堺市生まれ。覚せい剤取締法違反で4回逮捕され、合計12年の懲役を経験。出所後は、刑事収容施設への差し入れ代行業や収容者と家族の相談窓口などを行う。現在は堺市内で「Night Space祭」を経営。著書『女子刑務所ライフ』(イースト・プレス)がある。

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最終更新:2021/08/08 16:00
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