プウ美ねえさんのエプロンメモ

【お悩み相談】小学生の娘に性転換願望が……「女の子でいて!」と悩む親にプウ美ねえさんが説く「日本の女の子の幸せ」

2021/08/05 18:45
熊田プウ助(マンガ家)

家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。

(C)熊田プウ助

<今回のお悩み>
「小学生の娘に性転換願望がある」

 小学生の娘が「2分の1成人式」の文集で、10年後の自分へのメッセージに、「性同一性障害だということを周りの人に打ち明けられた」だの、「中学生か高校生になった時に男の子になるとお父さんとお母さんに言う」だのと書いていて、信じられない思いです!

 その文集を見せてと言った時に、頑なに拒むなと思ったら……とてもとても、そういう事で悩み、苦しんでいる様には見えないだけに、ひとまずそっと見守るだけでいいのか、誰かに相談すべきなのか、もし何年後かに本当に打ち明けられたらどうすればいいのか……。

 私は、ちゃんと受け止めてあげたいけど、頼むから、考えが変わって、女の子でいて! というのが正直なところです。(みっひいさん、50歳)

【プウ美ねえさんの回答】

 「2分の1成人式」という行事は何のためにあるのか、つねづね意味がわかりませんでした。お便りを読んで、「子の人格は親のものではないことを、親が早めに知るためのもの」なのだ、と納得いたしました。

 まず、お嬢様の幸せの形は無限だ、ということを理解しなければなりません。「女の子でいて!」というお言葉は、それをせばめます。受験や就職が不利で、結婚や出産を他人に詮索され、一人で生きれば揶揄されがち。そういう「日本の女の子」でいるのは、はたして全女性の幸せでしょうか。将来お嬢様が「お母さんの望みどおり女の子を続けたけど幸せじゃなかった」と思っても、あなたは責任がとれません。親は先にしにます。それなら、お嬢様が自分の責任で幸せになる選択をすべきです。受け止めなくてもよろしい。大人が正面から向き合うと、つい余計な口出しをしたくなってしまうものです。すべての子が、親の共感や応援を必要としているわけではありません。いまはお嬢様の健康だけを願って見守ればじゅうぶんです。

 頑なに拒んだものを無理やり見たことは、きちんとあやまりましょう。おねえさんの母は、おねえさんがホモ漫画家としてお金をもらい始めた頃、勝手に部屋に入って原稿を探し出したあげく「異常だ」と騒ぎました。一緒に生きていくことはできないとわかり、すぐに家を出ました。あの言葉は一生許せません。けれどもご飯を食べさせ学校に行かせ丈夫に育ててくれたことは感謝しており、いまも大切に接しています。共感しあえなくても、愛情ある関係はもてます。 

【今月のエプロンメモ】
 夢はその時々で変わっていくものですが、お嬢様は10歳なりに、他人の迷惑にならない将来のヴィジョンを持っていらっしゃる。やりたいことや、なりたい自分があるのは幸せなことです。そういう幸せな人を世の中に生み出せたあなたは、すでに最高の親です。安心して、自分たちを誇りに思ってください。

<お悩み大募集>
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熊田プウ助(マンガ家)

熊田プウ助(マンガ家)

1969年生まれ、ゲイ漫画家。『ホモ漫画家、ストリッパーになる』(実業之日本社)、『世界一周ホモのたび 狂』(ぶんか社)など著書多数。

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Twitter:@kumadapoohsuke

最終更新:2021/08/05 18:45
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