『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』 わだかまりのある親の最期に何を話す?「最期の願い ~父と息子と家族の2週間~」

2021/07/19 17:03
石徹白未亜(ライター)

心配なのは息子より娘

 将大は、過去の件は許さない体で話していても、「顔すら見たくない」ほどではないようで、寝たきりの静徳の足をマッサージしたりなど、父親に接している。あくまで許さないのは「過去の対応」であり、父親そのものについては許しているように見えた。この割り切り方は、とても大人な判断だと思う。

 個人的に、将大より心配なのは将大の妹の瑛梨歌だ。父と兄の病気、そして母は看病疲れで鬱になりと、離れて暮らしていた瑛梨歌は、実家に戻って家族を支えているという。

 静徳は病床で瑛梨歌への感謝を何度も伝えていた。だが26歳なのに、家族の心配や、家族のための行動が心や生活の大部分を占めている状況は切ない。幸い番組の最後、瑛梨歌の口から、今の家庭は笑顔が増え、状況は良くなっていると伝えられていたので、自分の幸せにも邁進してほしい。

次週の『ザ・ノンフィクション』は「老舗の寿司屋に婿が来た ~4代目は元美容師~」。80年続く寿司店一家の、最愛の一人娘が結婚したお相手は元美容師の31歳。婿入りしていずれは4代目として店を継ごうというのだが……。

石徹白未亜(ライター)

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2021/07/19 17:03
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