サイゾーウーマン暮らし雑貨冷えた心が息を吹き返す1冊 暮らし 白央篤司の「食本書評」 38歳、いろんな不安で冷えた心が息を吹き返す『しあわせは食べて寝て待て』――ショウガ紅茶のように体が温まる一冊 2021/07/10 14:00 白央篤司 「食本書評」白央篤司 時短、カンタン、ヘルシー、がっつり……世のレシピ本もいろいろ。今注目したい食の本を、フードライター白央篤司が毎月1冊選んで、料理を実践しつつご紹介! 今月の1冊:『しあわせは食べて寝て待て』水凪トリ 著 『しあわせは食べて寝て待て』水凪トリ 著(秋田書店、2021年4月25日発行)748円(C)サイゾーウーマン こういう本が読みたかった。 一気に読んでなんだか……おなかが温かくなったような気がした。ショウガ紅茶を飲んだ後のような、おいしいお粥をいただいた後のような。もう一度じっくり味わって読んで、肩の力が抜けて、自分が少し楽になっているのを感じた。 主人公の麦巻さとこは38歳、「一生つきあう病気」を抱えてしまい、会社を退職。実家も頼れず、週4のパートでギリギリの生活を続けている。日常生活は一応おくれるが、無理するとすぐに体が弱る。だから、仕事を増やすのは難しい。もっと安いところに越そうか……と考えていたとき、築45年の団地物件に案内された。そのとき居合わせたのが、大家であるおばあさん。 彼女はさとこの不調に気づき、ある食べものをすすめる。半信半疑で試すさとこ……と、ここから広がるのが薬膳の話。「あんずはノドを潤す」「梅雨のときは黄色い食材が良い」などなど、食と体の関係が描かれる。作者の水凪トリさんは主人公同様に持病があり、体調を整えるため薬膳を意識し始めたそう。いろいろ実践されて、効果を感じたものを作中に描いていると「あとがき」にある。 私が「信頼できるなあ……」と感じたのは、物語の早々で「(薬膳は)薬じゃない」と提示されること。食べもので症状が改善しても、それはいろいろ良い条件が重なったからかもしれないと、いたずらに効能をうたわない描き方に好感を抱いた。さとこは次第にのめり込み、薬膳に詳しい大家さんの「息子」なる人物に「いろいろ教えてください」と頭を下げるのだが、「病人には責任が持てないので」ときっぱり拒絶される。ここも誠意ある展開だなと感じ入った。 そう、繰り返すが食べものは決して「薬」にはならない。健康な状態で、好調をキープするためには大事なことだけれど、病を治す力は食物にはないのだ。 裏表紙(C)サイゾーウーマン 物語は薬膳を小道具にしつつ、さとこの生き方を軸に進んでいく。以前の勤め先で受けた中傷、思い切り働けない負い目、何より将来への不安……もろもろで心はすっかり冷えて、萎縮している。そんな彼女が、人生を達観している大家さん、その「息子」、新しい会社で関わる人々から、ささやかな善意を受け、ちょっとずつ心の息を吹き返していく。その描かれ方がなんとも穏やかで、やさしくて、ほのかな希望を感じさせてくれて。 今はいいことないかもしれない、つらいかもしれない。でも「運が巡ってきたときのために、少しでも元気になっておきなさいよ」と、大家さんはさとこにアドバイスする。果報は寝て待て、タイトルに関わってくるメッセージだ。人間なかなか毎日「本調子!」というわけにはいかない。食欲が湧かない日だってある。けれどまあ、調子が良くなったきたとき、運が向いてきたとき、きちんとその運を受け止めるためにも、何かしら食べておこう。日々食べることをおざなりにしないようにしよう。体が求めているものを考えて、自分に滋養を与えよう――といった作者の思いを、私は『しあわせは食べて寝て待て』から感じた。 コロナ禍が長引き、「非日常」がどんどん日常化してしまっている。つらいニュース、やりきれないニュースも多い昨今、心に温かみを求めている人に強くおすすめしたい一冊。そして第1巻の最終話、なかなかに気になる終わり方なんである。さとこの身にいいことが起こりそうで、次巻の展開が楽しみ。新刊が待ち遠しい。 白央篤司(はくおう・あつし) フードライター。郷土料理やローカルフードを取材しつつ、 料理に苦手意識を持っている人やがんばりすぎる人に向けて、 より気軽に身近に楽しめるレシピや料理法を紹介。著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』など。 最終更新:2021/07/10 14:00 関連記事 『直売所、行ってきます』『めんどうなことしない うまさ極みレシピ』ほか、フードライター・白央篤司が選ぶ上半期のオススメ3冊世界中、所変われど……変わらない!? キューバにパレスチナ、各国の食事作りの“手伝い”をつづる『世界の台所探検』豆苗を植えて育て、豆にして……もはや大河ロマン! 日常の「食」の“ふしぎ”を追った『育ちすぎたタケノコでメンマを作ってみた。』 【ジャニーズ情報専用】Twitterアカウント「J担しぃちゃん」オープン! 楽天 しあわせは食べて寝て待て 1 心がゆるくほぐれるよ サイゾーウーマン【裏】掲示板へ 次の記事 さんまの“容姿イジリ”が波紋! > オンナの[裏]掲示板 新着コメント ジャニーズ事務所の今後【3】 >>497 定年制度ぴったりの年齢で辞めたのは関ジュの奥村くんだけでしたね。 【芸能】噂・疑惑 制作費掛けて儲からない映画と 低予算でヒットしない映画どっちがマシかみたいな? どちらにしても邦画なんてお金貰っても観る気にならないようなのばかり ジャニーズWEST 日テレのドラマ「それってパクリじゃないですか?」は低視聴率間違いなしですね。 ジャニーズWESTが出るドラマは視聴率が悪いから。 「教場」も濱田を出さなけれは良かったのに。 【芸能】炎上 水ダウ叩く奴... なんで見るんだろ モンペやおこちゃまは早く寝たらいいのに 【芸能】結婚 >>5 祝福してても周りの声がデカすぎるし 民度低いって思われるしマジに失礼な女共 トピック一覧を見る サイゾーウーマンのSNS 「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。 @litera_webさんをフォロー 関連キーワード 料理病気 38歳、いろんな不安で冷えた心が息を吹き返す『しあわせは食べて寝て待て』――ショウガ紅茶のように体が温まる一冊のページです。サイゾーウーマンはジャニーズ(嵐、SMAP、TOKIO、KinKi Kids、V6、NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUN、Hey!Say!JUMP、Kis-My-Ft2、Sexy Zone)の最新ニュースのほか、ここでしか読めない裏芸能ゴシップなどをお届けします。女性誌レビューやコラム、インタビューなども充実! 「食本書評」白央篤司のニュースならサイゾーウーマンへ!