『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』里親と娘、そして20年連絡のなかった実母からの手紙「ママにしてくれてありがとう~血のつながらない母娘の12年~」

2021/06/21 17:36
石徹白未亜(ライター)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。6月20日の放送は「ママにしてくれてありがとう~血のつながらない母娘の12年~」。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 都内の一軒家。ここには、「ママ」の美香と、夫であるアイルランド人の 「ダディ」ことトニーと、6人の子どもたちが暮らしている。美香夫婦が育てているのは、育児放棄や虐待や経済的理由などの事情から、実の親と一緒に暮らすことができなくなった子どもたちであり、夫妻はこれまでそのような17人もの子どもを里親となって育ててきた。

 きょうだい最年長で23歳のあき子は、物心がついた頃には児童養護施設に預けられており、実母の記憶はほとんどない。実母は激しいDV被害を受けていたようで、あき子にとって実母最後の記憶は、病院のベッドに横たわる母親の姿で、言葉を交わすこともできなかったようだ。

 養護施設で過ごしたあと、12年前から美香の家で暮らし、美香を「ママ」と呼ぶなど家族仲も良好だ。しかし実母に会いたい思いもあり、高校の卒業式と成人式には実母に手紙を出したが、返事はなかったという。高校卒業後に就職するも、人間関係のトラブルで退職し、今は美香の家に戻って共に暮らしている。

 そんな中、児童支援を行う女子大生3人が、あき子の境遇について教えてほしいと家にやってきた。あき子は事前に用意した原稿を学生たちの前で読み進めていく。しかし、児童養護施設から通っているという理由で、学校でいじめられ、給食のおばさんに孤独な気持ちを聞いてもらっていた過去を話しているうちに、涙がこみ上げてくる。子どもながらにして人を信じ、頼ることもできなくなり「こんな世界に生まれてよかったのか」と思い至った……と語ると、ついには言葉に詰まり、部屋に戻る。横で話を聞いていた美香は、自分と年が変わらない女子大生たちが恵まれているように見え、つらかったのかもしれない、と話した。

 その後も、塞ぎ込みがちなあき子を前に、美香は実母を探そうとあき子に提案する。あまりに音信不通が続くのでもう亡くなっているのかもしれないと思われたあき子の実母だったが、あき子が成人式の際に送った手紙に返信をしていたことがわかる。あき子の退職と、それに伴う転居により宛先不明で実母のもとに戻ってしまっていたとのことで、あき子は実母からの手紙を3年越しで手に入れる。

 緊張からか不安からか、しばらくは手紙の封を切ることもできなかったあき子だったが、手紙にはこれまで連絡できなかった理由についても触れられており、あき子を愛し心配しているということ、繰り返し「ごめんね」とつづられていたという。涙ながらに読んだあき子は番組スタッフに「(実母が)生きててよかった」と笑顔を見せる。あき子は実母に対し、今とても幸せに暮らしてますと返信する。

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