『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』フォロワー40万人、20歳の六本木ダンサーの悩みとは「夢と涙の六本木 2~ミレイとモモの上京物語~」

2021/05/24 17:52
石徹白未亜(ライター)

他人の言動を気にしないミレイ

 一方、もう一人のキャスト、新人のミレイは遅刻も多く接客は苦手と、「プロ意識」の面では同い年のモモに遠く及ばない。しかしミレイにはモモにはない長所がある。ミレイは、息を合わせることが必要なショーのグループ練習を直前でドタキャンしたり、マネジャーからも勤務態度を説教されと、こんな毎日を過ごしていたら店に居づらくなると思うのだが、ミレイは辞めずに働き続けていた。

 高校で不登校になりかけた、という状況だけ見るとミレイは繊細なように見えるのだが、店での行動を見るとむしろ他人の言動をあまり気にしないタイプに見える。こういう「他人の言動を気にしない」性格は、ハードな人気商売で生きていくなら、あったほうがいい気質だろう。

 「気にする」「気にしない」は天性のものもあると思うが、面倒な客やSNSの誹謗中傷に落ち込むモモは、案外ミレイの「気にしなさ」から得るものがあるのではないかと思った。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は「酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~ 前編」。茨城県日立市、チェーン店が並ぶ国道沿いに、終戦直後にタイムスリップしたような佇まいの一角がある。13軒の小さな飲み屋が並ぶ「塙山キャバレー」。店を守ってきた女たちの人生について。

石徹白未亜(ライター)

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2021/05/24 21:45
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