『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』納棺師からドライバーに転職した国立大卒の25歳「東京、タクシー物語。後編~シングルマザーと新人ドライバー~」

2021/05/17 17:31
石徹白未亜(ライター)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。5月16日の放送は「東京、タクシー物語。後編~シングルマザーと新人ドライバー~」。

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あらすじ

 45歳のシングルマザー、恭子は3年前から東京の葵交通でタクシー運転手として働いている。同社の約150人のドライバーの中で、取材を始めた2020年秋時点では、女性は恭子一人だった。もともと恭子は故郷である茨城の映画館で長年働いていたのだが、娘のこころが2歳のときに離婚。当時の月収は20万円ほどで、娘の将来を思い、もっと稼げる仕事をと40歳を過ぎてから東京でタクシー運転手へと転身。会社が借り上げた部屋で70歳になる母とこころの3人で暮らしている。

 しかし、20年春から感染が拡大した新型コロナウイルスによる社会の変化が、恭子一家の生活も一変させる。度重なる緊急事態宣言で街からは人が消え、飲食店の営業は都からの時短要請が入り、テレワークにより通勤者も減りと、タクシー運転手にとって頼みの綱である深夜の乗客が激減してしまう。それまで30万円ほどあった恭子の月収も10万円台まで減少してしまう。

 厳しい状況でタクシードライバーを辞める人も多いが、新たにこの世界に飛び込んでくる若い女性もいる。25歳のちひろは国立大学出身。前職は葬儀屋で納棺師として働いていたが、コロナ禍により葬儀の規模縮小、自粛が続いたことで職を失い、30社以上も面接を受け、葵交通に採用されたという。

 23歳の直子は、一流店で働いていた元料理人。厨房で大けがをしてしまい、それをきかっけに引きこもりがちになってしまったという。たまたま乗ったタクシーの運転手に身の上話を聞いてもらい救われた経験から、タクシー運転手を志す。一発合格は難しいとされる地理試験(主要な交差点や幹線道路などを回答する)も、一度でクリアする努力家だ。

 ちひろ、直子の教育係は恭子が受け持つことになり、しばらく恭子が助手席に同乗した。恭子は、「無事故・無違反で笑顔で帰ってきなさい、っていうことが一番」と話し、クラクションを鳴らす後続車や、黄色信号で止まったことを咎めるような乗客がいても、気にしてはいけないと後輩二人に説く。

 直子の研修時に、直子が選んだルートにいつまでもネチネチ文句を言う厄介な乗客がいたときは、下車後に休憩を取るなど「笑顔で帰ってくる」ための心の置き方について恭子は行動で示す。難しい乗客もいる一方で、直子と恭子が研修中だとわかると、コンビニで温かいお茶を買って差し入れをする乗客もいた。

 しかし、ちひろは徐々に会社を休みがちになり、会社を退職してしまう。そして葵交通の決算も創業以来最悪の赤字となってしまう。暗いニュースが続く中、小学生になるこころが会社の保育園を卒園。会社からのプレゼントで恭子親子にタクシーでの浅草観光がプレゼントされ、しばしの休息を楽しんでいた。

夢に迷って、タクシーを呼んだ
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