スカヨハかっこいい列伝

スカーレット・ヨハンソン、セクハラや人種差別問題を抱えるゴールデングローブ賞と「距離を置く」

2021/05/11 17:26
堀川樹里(ライター)
スカヨハのキレッキレの声明に惚れるわ

 アカデミー賞の前哨戦ともいわれる、映画/テレビの祭典「ゴールデングローブ賞」。受賞作を決めるのは、ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)だが、今年2月、現在87人の会員のうち黒人は1人もいないことを大手紙「ロサンゼルス・タイムズ」が報道した。過去20年以上、黒人会員はゼロ、有色人種も数名だけという偏った組織構成も明るみに。今年各賞の受賞が有力視されていたアフリカ系アメリカ人であるスパイク・リー監督『ザ・ファイブ・ブラッズ』がノミネートすらされなかったのは、「HFPAがあまりにも多様性に欠けているからだ」とバッシングが巻き起こった。

 その後、テレビ界で活躍している脚本家/プロデューサーのションダ・ライムズが、自身が制作した人気ドラマ『ブリジャートン家』の記者会見にHFPAの会員が一人も来なかったことを暴露。彼女はその理由を「主役の一人がアフリカ系だったから」とし、アフリカ系を冷遇するHFPAの体質を指摘した。

 3月にはHFPA元会長が現会員に対して、黒人差別への抗議運動「BLM(ブラック・ライブズ・マター)運動」を「人種差別的なヘイト運動」、活動の創始者を「アマチュアのマルクス主義者」と侮辱するメールを送っていたことが発覚。人種差別的だと問題視され、動画配信サービス「Netflix」やAmazonスタジオのトップらが、「団体として人種差別問題への対応をしない限り、HFPAとは仕事をしない」と声明を出し、ボイコットへと発展していた。

 HFPAへ変革を促す流れの中、5月8日、過去4回ゴールデングローブ賞にノミネートされてきた実力派俳優スカーレット・ヨハンソンが、「HFPAから距離を置く時が来た」という声明を発表。「これまで記者会見で、HFPAの記者からセクハラ同然の女性蔑視な質問を受けてきた」と怒りをぶちまけたのだ。

 スカーレットは今回発表した声明で、「HFPAはアカデミー賞受賞の機運を高めるため、ハーヴェイ・ワインスタインのような人たちによって正当化された組織」だと、権力を振りかざして、女性俳優に対する強姦・性的虐待などを繰り返していた元大物映画プロデューサーの名前を出し、もともと問題のある組織なのだと痛烈に批判。「HFPAが組織内で根本的な改革を行わない限り、私たちはHFPAから距離を置くべき」だと呼びかけた。

 今回、毅然とした態度を示したスカーレットだが、彼女はこれまでにも自分の信条に従い行動に移してきた、勇気あるセレブとして知られている。

スカーレット・ヨハンソン 彼女が愛される理由 ブランドン・ハースト/著 天野智美/訳
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