仁科友里「女のための有名人深読み週報」

中田敦彦より、藤森慎吾のほうが「生き残る」と思うワケ……オリエンタルラジオの「地味なほう」を考える

2021/04/08 21:00
仁科友里(ライター)

中田敦彦と藤森慎吾、どちらと仕事をしたいか?

 今後、活躍すると予想される「じゃないほう」は、オリエンタルラジオの藤森慎吾だと思う。オリエンタルラジオといえば、中田敦彦のキャラの濃さと成功が際立っている。その昔、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に出演した中田は「お笑いを作りたいんじゃない、時代を作りたい」と発言していたが、中田はその後、教育系YouTuberとなり、「中田敦彦のYouTube大学 NAKATA UNIVERSITY」チャンネルを立ち上げる。登録者数は367万人(21年4月8日現在)、テレビに出なくても生計を立てられるようになった中田は、吉本興業を退所し(ただし、オリエンタルラジオは解散しない)、シンガポールに移住する。

 中田がお笑いの仕事をしていない以上、吉本興業に所属する意味はないわけだから、彼の退所は理解できる。しかし、なぜか相方である「じゃないほう」の藤森も、吉本興業を退所してしまった。中田の場合、退所してシンガポールに移住することで、YouTubeの新たなネタを増やすことができるだろう。しかし、藤森の場合、行き当たりばったりな気がしないでもない。中田はともかく、藤森は吉本にいたほうがよかったのではないかと考える人は多かっただろう。しかし、単なるカンにすぎないが、「芸能界に生き残るのは、藤森だ」と私は思っている。なぜなら、中田には“死角”が多すぎるから。

 中田のYouTube大学は登録者数は多いものの、たびたび内容に誤りがあることが指摘されている。中田といえば、慶応義塾大学出身の高学歴芸人として売っていた時期があるが、「受験勉強ができる」ことと、「人に教えるくらいの知識がある」ことは別次元の問題である。また、中田が仕入れた知識が、「正しい」とは言い切れない。そういう意味で、ミスするのは致し方ないのかもしれないが、あまりに間違いを連発すると、中田個人の信用が低下してしまうだろう。また、登録者は移り気だから、いつまでも今の人気が続くとは言い切れない。

 移り気といえば、中田も気が変わるのが早い。彼は世界のセレブを真似て、ヴィーガン宣言をしているが、「家族がいると、すごい妻が困った顔をする」と撤回している。また4月からはプライバシー保護のため、動画で顔出しをやめ、アバターとなって声だけの出演とすると発表していたものの、これも撤回。一度口に出したことは絶対にやり遂げろというつもりはないが、よくいえばスピード感がある、悪くいえば見切り発車な決断は評価が分かれるところで、行き当たりばったりだと感じる人もいるだろう。

 この決断に対し、藤森は「藤森慎吾のYouTubeチャンネル」で「今年一、笑ってます」「だから、中田敦彦やめられない」とコメントしている。藤森は中田をバカにしているわけではなく、緻密なようで、結構ヌケてるところが「中田らしさ」だと愛情をもって表現したのだろう。

 アイデア力にすぐれているかもしれないが、仕事が粗かったり、浅い決断を連発して人に迷惑をかけることもある中田タイプと、爆発的な業績はないかもしれないが、芸人としての実績があって、人格が円満な藤森タイプ。どちらの人と「仕事をしたい」と思うかといえば、一般的には、後者の藤森タイプではないだろうか。どんな仕事をするかはわからないが、藤森は厳しい芸能界を、なんとなーく、らくーに渡っていくような気がしてならない。

仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2021/04/08 21:05
才(ザイ)
あっちゃん、いつか派手にコケないといいけれど
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