【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇陛下を味方につけた侍従長、女官を追放! 宮内庁に渦巻く“男の嫉妬”が生んだ悲劇

2021/04/03 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

昭和天皇も女官・今城を警戒していた?

 なぜ、ここまで入江氏が今城を問題人物として警戒しているのかといえば、皇室ジャーナリストの河原氏によると、宮中祭祀の場である宮中三殿にもエアコンなどの空調設備を取り付けようとした入江氏を、今城さんが「そんな神聖な場所に釘を打つことは許されない!」と止めさせたとか、今城さんが何やら神がかりな理由を付けて、歯痛の皇后さまを医者に診せようとしなかったとか、そういう“積み重ね”があるのですね。

――今城さんは、宮中の中でも強火の“祭祀至上主義者”で、入江は逆に“祭祀より別のおつとめを”という主義だと、前回に聞きました。理想の皇室像が異なるだけに、やることなすこと全部が癪だったのかも。

堀江 入江氏の胸の内を推測すると、例の性格、価値観の今城さんを外国なんかに連れて行ったら、宮中にいてもこの調子なのに、どんなトラブルが巻き起こるか! というものでしょう。

 昭和天皇も、今城さんにはあまりよい印象をお持ちではなかったことが推測されます。当初は、ヨーロッパ外遊に連れて行くべき女官として「魔女はどうもいけない(略)と(入江氏が昭和天皇に)申しあげたら、そのとおりだと仰せになった(『入江相政日記』昭和46年2月22日)」というくらい、天皇陛下も今城さんを警戒していたのです。

 だんだん皇后さまと距離を取らせるようにして、後に穏便に辞めてもらう程度の判断だったのが、皇后さまが「やはりヨーロッパに、今城も同行させたい」と何度も何度も主張するにつけ、皇后さまの背後の今城さんの存在を感じた入江氏が本気で怒ってしまい、最終的に、今城さんには「今、辞めてもらおう!!」となっていったことが、彼の日記からはわかります。

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