【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

「浮気相手は100%同性」夫との子作りを始める30代既婚女性が、浮気相手に女性を選ぶワケ

2021/03/07 16:00
いしいのりえ
(C)いしいのりえ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 近年LGBTQへの理解が進む中、芸能人が性的マイノリティであることをカミングアウトしたり、街中で同性カップルを見かけることが珍しくなくなった。

「本当にありがたい世の中になったなあと感じます。昔は新宿以外のラブホテルに女の子同士で入ると、ジロジロ見られたりしてましたから。受付のおばちゃんが小窓から顔出して覗いてきたこともありますよ」

 そう語るミカさん(仮名)、現在の婚外恋愛相手は「女性」である。

 ミカさんは30代前半。大学時代からの友人であった男性と数年後に再会、交際を経て結婚した。

「ここ最近、私も旦那も『夫婦』としてのペースをつかめてきたので、今年は真剣に子作りしようと思っています。年上の友達も『早く産んでおいたほうがいいよ』ってアドバイスをくれますし、そもそも大変なことは先に済ましておきたいタイプなんです。本当は去年あたりから頑張るつもりだったんですけど、コロナ禍になっちゃったので」

 日本人の母と東南アジア系の父を持つミカさんは、高校進学のタイミングで来日。華奢な手脚と小さい顔、大きな瞳に異国の血を感じさせる。

「それからずっと日本ですけど、どこか『自分の国じゃない』っていう違和感を覚えながら住んでいます。一番強く感じるのは人との距離感ですかねえ……私、人が好きなんですよ。気に入った人にはすぐハグしちゃうし、ほっぺにキスしちゃう。男も女も、おじいちゃんもおばあちゃんも。みんな大好き! 日本だと、特にこのご時世ですから、まあイヤがられますよねえ」

 ミカさんは手を叩いて明るく笑う。大学時代からそんなノリであったミカさんを温かく見守っていたのが、今の旦那さんである。大学在学中は「くっついたり離れたりしていた」という2人は、共通の友人の結婚式で再会。自然と交際が始まり、結婚へと発展した。

「私、男癖が悪いんですけど、旦那はそのことをイヤっていうほど知ってますから。まあこの人だったら、多少の浮気も目をつぶってくれるんじゃないかなという甘えがあったんですよ。彼も彼で、本気の不倫はしないけど、私と同じで、よその子にちょいちょい『ちょっかい』出すのは好きな人なので、まあお互い様ってことで。私も旦那も、出会った時から寄り道してくっついて、を繰り返していたから、多分夫婦して一生このスタンスなんだろうなって思いますよ……」

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