『おちょやん』解説

朝ドラ『おちょやん』、ヒロイン実父・テルヲをめぐり炎上連発! トータス松本の“毒父”ぶりは「絶対悪」か「庶民の普通」か?

2021/02/27 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

テルヲを「絶対悪」として見るか、「普通」とするか?

 テルヲのキャラは、橋田壽賀子先生の連続テレビ小説『おしん(1983〜84)』の父・作造(伊東四朗さん)からインスパイアされたそうです。『おしん』放送当時、作造へのバッシングはテルヲほどはありませんでした。要するに「あー、こういう父親ありがち……」と受け入れられていたのです。

 テルヲ大炎上を見ていると、親が「まとも」なのが日本では普通になっていることがわかり、逆に「良いことじゃん」などと筆者は感じてしまいます。「絶対悪」としてのテルヲの評価は、ここ40年ほどの人権意識の向上の証明といってもよいでしょうし。

 生活破綻者のキャラがドラマに出てくるのはアリだと思うんです。でも、悪役を通り越して、ダメ人間であることのまともな言い訳すらできないキャラは、現代人の目にはきついですねぇ……。女優になりたいという娘の夢さえ、テルヲは踏みにじって去っていきましたし、あれは言い訳すれば済まされるレベルの話ではありません。

 ダメ人間でも、なにか夢、目標があるかどうかで、救いがあるかどうかが決まるような気がします。って、それは千代が恋をする一平ちゃん(成田凌さん)のことなんですけれど(笑)。『おちょやん』観察日記は、次回に続きます!

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『隠されていた不都合な世界史』(三笠書房)。

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最終更新:2021/02/27 17:00
水のように
炎上装置としてテルヲが優秀すぎる
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