“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験ブームに流され、3年間で400万円課金! 「なのに入学先は偏差値48校」「公立でよかった」母の言えない本音

2021/02/28 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 中学受験界では、早くも新年度が始まった。最近では、新小学4年生が塾通いをスタートさせる「適齢期」といわれている。

 つまり、受験熱が高い地域であれば、小3にもなると、校内で中学受験関連の話題が普通に出てくるということだ。

「〇〇ちゃんはA塾に決めたんだって」
「B塾は定員が一杯でもう入れないらしいよ」
「私はC塾に行こうと思うから、一緒に行こうよ!」

 このように、塾に関する会話が子ども同士でなされることは、特段珍しいことではない。

 ある日、由美子さん(仮名)は、当時小3の娘・美沙ちゃんから、こう言われたそうだ。

「真子(仮名)ちゃんがD塾に行くことにしたんだって。『一緒に行こうよ!』って誘ってくれるから、私も行きたい!」

 D塾といえば、誰もが知る中学受験専門塾。普通に考えると、真子ちゃんは中学受験をして私立中高一貫校に進学するということになる。

 由美子さん夫婦は首都圏出身ながらも、夫婦ともに公立中高育ち。大学こそ私立であったが、そもそも経験がないので、中学受験を選択することがいいのか悪いのかすらも、考えたことがなかったそうだ。

 美紗ちゃんの小学校では例年、学年の約3分の1ほどの児童が中学受験をするという。由美子さんにはそれが多いのか少ないのかもわからなかったもののが、ママ友の話では、公立中学では、高校受験のための内申点を取るのが大変で、しかも、肝心のその中学校の評判が芳しくない。

 由美子さんは、ぼんやりと、「私立中学のほうがイジメもなくていいのかな?」くらいに思っていたという。

 その後も美沙ちゃんは、「ね~? いいでしょう? 真子ちゃんがせっかく誘ってくれたんだよ! ちゃんと勉強するから、お願い!」と、必死にお願いしてきたそうだ。聞けば、由美子さん一家は、美紗ちゃんが小3の初めにこの街へ転居。当初、クラスに馴染めなかった美紗ちゃんに優しくしてくれたのが、真子ちゃんだったという。

「真子ちゃんは、唯一ともいえる美紗の仲良し。『真子ちゃんを失いたくない』っていう美紗の気持ちもわかったのでD塾に通うことを許可したんですよね……」

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