仁科友里「女のための有名人深読み週報」

西野亮廣のオンラインサロン会員になっても……「夢をかなえることは難しい」と思ってしまうワケ

2021/01/21 21:00
仁科友里(ライター)

「夢を持て」と煽る人こそ詐欺師

 その理由は、1月20日付の西野のオフィシャルブログに求めることができるように思う。オリエンタルラジオが吉本興業を退社したことについてコメントを求められることが多いという西野は、こう書いている。

「今回の見なきゃいけない部分は、『オリラジ』じゃなくて、『吉本興業』です。これって結論を言っちゃうと、『発信力を持ってしまったタレントに事務所としてのメリットを提供できなかった』ということだと思うんですね」
「なので、『吉本興業を辞めても食っていける芸人』をリストアップして、『彼らにどんなメリットを提供できるか?』を緊急会議した方がいいと思います」

 西野は“メリット”という言葉を繰り返して使っていることに気づくが、ビジネスの基本は、これではないだろうか。その人と組んだり、その人を起用することで得られるメリットがなければ、ビジネスとして成立しない。しかし、すでに成功している西野と、これから何かしようとしている何も持たないサロンメンバーでは力量が違いすぎて、一緒にプロジェクトをするにも、メリットを共有することが難しい。

 そうなると、メンバーは今回のように、無理をして映画のチケットを売って、西野に貢献するくらいのことしかできないだろう。その結果、「オンラインサロンでマルチ商法をしているのではないか」と言われてしまうような事態になったと思うのだ。

 今回は大事に至らなかったが、例えば今後、若い女性が映画のチケットを大量購入するために借金をし、チケットがさばけず、借金も返せないから風俗で働くことになったなんて出来事が起きたら、オンラインサロンはそれこそものすごいバッシングに晒されるだろう。

 2020年11月放送の『華丸大吉&千鳥のテッパンいただきます』(フジテレビ系)に出演した西野を、千鳥・大悟は「捕まっていないだけの詐欺師」と表現した。詐欺師というと「お金を騙し取る人」のイメージを持つ人が多いだろうが、私に言わせると「夢を持て」と煽る人こそ詐欺師だ。

 その昔、小室哲哉は渡辺美里のために書いた楽曲「My Revolution」で「夢を追いかけるなら、たやすく泣いちゃだめさ」とつづっているが、「夢を持つ」「やりたいことをやる」と、尋常じゃなく傷つき、時には人生さえも棒に振って破滅することになるかもしれない。一人の成功者の陰には、何千、何万もの落伍者がいることを忘れてはならない。お金なら働けば戻ってくるが、人生はそうはいかない。若い人たちには、気を付けていただきたいものだ。

仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2021/01/21 21:00
ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある
夢なんかなくたって楽しいけどね
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