50代に大人気だって

『モーニングショー』コメンテーター・玉川徹、一体どんな男なのか? “演出”手腕と「干されない」強み

2021/01/14 11:30
村上春虎
『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)公式サイトより

 毎日のようにネットニュースを賑わせる男がいる。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でレギュラーコメンテーターを務める玉川徹だ。

 番組で盛んに「PCR検査推進」を唱えることから、一部ネット上では「PCR真理教の教祖」とも揶揄されている。自身は、「感染症に関してはある種、煽ってるって言われるくらいでいいんじゃないかって、ずっと思ってやってきた」とも口にしており、視聴者の不安を煽るアジテーターを自認しているようだ。

 そんな玉川が、テレビ朝日の社員であることは広く知られているが、その来歴を追ってみよう。

「テレビ朝日報道局の一般局で、特に解説委員という立場ではありません。彼はもともと、前身の『内田忠男モーニングショー』でADとして入った裏方。さらには『スーパーモーニング』『ワイド!スクランブル』でディレクターを務めてきました。『スーパー』の後期に冠のついたミニコーナーを任され、番組に出演するようになりましたが、『スクランブル』時代、政治をテーマに自分で“リポーター”として情報を伝えた際、反響が良かったことで確かな手応えをつかみ、どう世間に投げると反応が返ってくるのか学んだそうです」(制作会社スタッフ)

 コメンテーターとして出演し始めたのは2011年。『羽鳥慎一モーニングショー』で毎日出演するようになり、さらに知名度が広まった。

「玉川の真骨頂は『スッキリ』(日本テレビ系)に出ていた頃のテリー伊藤のように、大方の意見と真逆のことを言う“逆張り”スタイル。ダレそうになるスタジオを、あえて別のことを言ってピリッとさせる、まさにディレクター感覚の持ち主です。逆張りとはいえ、彼の中にはAとB、正反対の意見が常に自分の中にあるのでしょう。だから、本人としても本意でないことを言ってる感覚はないのでは」(同)

 全体の盛り上がりを見て自身でバランスを取る演出手腕は、スタジオでの対立構造も作り出した。

「『羽鳥慎一モーニングショー』で毎日出演することになったとき、司会の羽鳥に『僕が悪役をやるので善人に専念してください』と提案したそうです。羽鳥もそれを受け入れ、玉川がいきすぎた発言をしたときには、いなしたりピシャリと言い返す場面も見られます。番組では、毎日ボードを使ってニュースの詳細をプレゼンしていますが、このボードの内容も、玉川が理解できないなら視聴者にも伝わらないと考えていると、羽鳥は言っていました。つまり、玉川が視聴者感覚の代表でもあり、羽鳥からの信頼も得ているのです」(同)

 さらに玉川の強みは、どんなに放埓な発言をしても“干されない”点だ。

「タレントだった場合、要注意人物だとみなされてテレビ局が起用に及び腰になるものですが、所詮はテレビ朝日のいち局員ですから、干されようがありません。万が一、問題発言をした場合は裏方に回ってもらうだけで済みますから。番組スタッフは、玉川に関するTwitterの声も丁寧に読んでいるようですよ」(同)

 そんな同番組は、昨年の年間平均視聴率がNHKの『あさイチ』を抜いて初の同時間帯トップ、民放では4年連続トップを獲得。世帯視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人視聴率は5.5%と、圧倒的だ。特にF3、M3層と呼ばれる50歳以上男女からの支持が高い。

「玉川の発言をしっかり追うと、資料の確認不足だったり、矛盾していることがわかるのですが、権力に立ち向かう姿勢が、なんとなく“正義の味方”のように見えるのでしょう。高齢者からの人気は相当高いです」(放送作家)

 だが、知名度が上がるにつれて、30〜40代の若い視聴者も流入し、発言をチェックする“お目付け役”もネット上に生まれた。軽はずみなことを言おうものなら批判が噴出。一筋縄ではいかない時代になってきた。

「玉川が放つ言葉に『アンチもお客さん』というものがあります。『けしからん』と言いながら見てくれるというものです。ただこの先はわからない。一時期は猛追していた裏の『スッキリ』の数字も落ち着いたので、しばらくは一強時代が続くとは思いますが、これからどんな視聴率バトルを見せてくれるのか楽しみです」(同)

 今からちょうど10年前、多摩川に出没したアザラシの「タマちゃん」。こちらのタマちゃんは可愛がられる愛されキャラではないが、目が離せない存在であることは確かだろう。
(村上春虎)

最終更新:2021/01/14 11:31
新品本/玉川徹のちょっと待った!総研 玉川徹/著
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