“中学受験”に見る親と子の姿

「最悪な学校です」中学受験直前、憧れの志望校がネットで酷評! 「本当に苦しかった」掲示板に踊らされた母語る

2021/01/10 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 首都圏では1月10日の埼玉県の私立中学入試を皮切りに、いよいよ中学受験本番を迎える。

 今年はコロナ禍の影響も相まって、保護者の心労はピークに達しているが、この時期、特に問題となるのが「フェイクニュース」である。

 もちろん、この場合のフェイクニュースは、政治的な世論操作を目的とした類のものではなく、SNSやママ友発信も含む“中学受験での不確実な情報”という意味だ。

 例えば、受験関連の匿名掲示板や生徒たちが書き込む学校掲示板では、特定の学校に対する「ディスリスペクト(disrespect)=無礼を働く」……いわゆる“ディスり”というものが散見される。また、同じ受験ママ同士での会話の中でも、真実とは言えない情報が駆けめぐることも稀ではない。

 これらの情報は、言うならば「伝言ゲーム」の様相を呈していくので、尾ひれがつき、真実からはドンドンと遠ざかるのだ。

 さらに付け加えるならば、学校がネットで誹謗中傷をされることは、特に珍しいことでもなんでもない。よくあるのが、「先生が大量に辞めている」「残っているのはクズ教師ばかり」「指導力のない先生が多い」といった先生関連のもの、また「いじめがひどい」「学級崩壊した」「子どもが不登校になった」「生徒の家族が学校側に裁判を起こすらしい」といった生徒関連もので、しばしば炎上にも発展する。

 これは極論、「誹謗中傷されない学校はない」ということなのだが、実際にその学校を本命校としているご家庭にとっては、見過ごせない問題であろう。

 聖子さん(仮名)も心ないネット情報に踊らされた一人である。

 聖子さん親子の意中の学校はC学園であった。親子で小学3年生の時から、何度もC学園に足を運び、その雰囲気に魅せられ、「ここしかない!」と憧れを抱いていたそうだ。

 我が子が6年生の秋になるまで、「学校掲示板」なるものがあることを知らなかったほど、「ネット事情には疎かった」と語る聖子さん。

「うちの塾はオープンなせいか、6年後期になると、クラス編成も『A学園&B学院&D女子志望者で1クラス』といったくくりで分けられるので、友達同士、どこを志望しているのかも薄っすらわかるシステムではあったんです。それで、ある日、ママ友にこう言われちゃったんですよね。『もしかしてC学園志望なの?』って。それで『すごい評判悪いけど、大丈夫?』と心配されてしまい……」

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