[コラム]K-POPタテ・ヨコ・ナナメ斬り

NCT Uの「90’s Love」を徹底解剖! 90年代の元ネタから楽曲・歌詞・ビジュアルをフル解説

2020/12/03 19:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

7:「오렌지빛 압구정을 걸어」(オレンジの狎鴎亭を歩く)の「오렌지빛」(オレンジ):オレンジ族 (0:47)

 ソウル・江南地区は元々は郊外の農地でしたが、63年のソウル市編入後、70年代以降にたくさんの高層マンションが建ち並びます。そこに新興裕福層がたくさん越して来ますが、80年代に入ると88年にオリンピックの開催もあり、どんどんと土地の価格が上昇し、持っていたマンションの価格が3倍近く上がるケースもあったそうです。

 歌詞の「オレンジ」は오렌지족(オレンジ族)のことを指しており、高級繁華街となった狎鴎亭(アックジョン)で、海外ブランドの服を着て外車に乗り高級カフェに出入りし、親の金で遊び回る20代の若者のことを言います。狎鴎亭は、江南の中でも特に高級デパートやブティックが多く並んでおり、現在も芸能人がよく出没する場所として知られています。

 オレンジ族の由来は諸説ありますが、当時輸入フルーツが珍しかった韓国で、外車に乗りながら道でナンパをする時にオレンジを持っていた、カフェでオレンジを丸ごと絞ったジュースを飲んでいた、カフェで好みの異性が現れるとオレンジジュースを渡していた、などが語源とされています。日本の80年代後半のバブル期のような状況ですが、日本では世間が全体的にそういうムードだったのに比べ、韓国では特に一部地域の人たちだけが成金になったため、疎まれるような存在だったとか。「オレンジ族」は、そのような過度な消費行動を皮肉る名称だったとも言われています。

8:「Here we go here we go here we go」 (1:11)

 冒頭0:18~の「Here we go, yo, here we go, yo」がほぼ同じなので、ここから引用しているのではないでしょうか。

 A Tribe Called Questは90年代を代表する伝説のグループといわれるほどで、この「Scenario」はなんと100曲以上にサンプリングされています。
Jazzy Hiphop特集の際、Jazz Rapというくくりで紹介しました。

■A Tribe Called Quest – Scenario (91)

9:「Don’t this hit 진짜 느낌 오는 jump jump」(Don’t this hit マジで良い感じの jump jump) (1:20)

 Busta Rhymesの「Pass The Courvoisier Part II」から「Don’t this shit make a nigga wanna (JUMP JUMP!!!!)」のフレーズをそのまま引用しています。今まで90年代で固めてきたはずなのに、ここだけ2001年リリースの楽曲なのは何か意味があるのでしょうか……。どうせなら90年代楽曲のフレーズで押し切ってほしかったです。

■Busta Rhymes – Pass The Courvoisier Part II (01)

 「jump jump」のタイミングでMVに映る、メンバーを囲った下からのアングル (1:25)はN.W.Aのアルバム『Straight Outta Compton』のCDジャケットのオマージュでしょう。

『STRAIGHT OUTTA COMPTON』

10:주머니는 헐렁했지 (ポケットはダボダボだった) (1:32)

 今まで挙げたMVを見てきた方にはわかると思いますが、90年代のHiphopファッションを指しているように思います。ちなみに、このオーバーサイズのファッションには諸説あり、体を大きく見せるためや、Hiphopをメインでやっているアフリカンアメリカンに貧困層が多く、何度も買い換えなくていいからという理由で大きな服を子どもに買い与え、お下がりを着させていたという説などがあるようです。

11:자 찍어 cheese (さぁ 撮って チーズ) (1:34)

 ここは元ネタというよりは補足になりますが、「cheese」にはHiphopスラングとして「お金」という意味があります。「Blue cheese」になるとマリファナの意味になり、90年代で挙げるならこの曲でしょうか。

■The UMC’s – Blue Cheese (91)

12:Friends (1:43)

 もはや説明不要なぐらい知名度の高い、94年から04年にかけて放送された米ドラマ『フレンズ』です。

13:So let me see you do your thang (come on) (1:55)

 チーズと同じく補足ですが、「thang」は「thing」のスラングで、「Do your thang」はアメリカのHiphopに限らず、R&Bなどの楽曲でタイトルや歌詞に良く使われるフレーズです。意味は「やることやれ」や「(何かを好きに)やってろ」のようなものになります。

 一般的に「thang」は少し距離を置くようなものや概念を指し、例としては、ヒートアップした議論や面倒くさいトラブルなどが定義されるそうです。Hiphopなどの楽曲で用いられる時は、「thang」が仕事なこともあれば性行為などの卑猥な意味のこともあり、いろいろな解釈ができるようなフレーズです。

 「90’s Love」の文脈では「들어 봐 DJ drops it」(聞いてDJ drops it)や「feel a way」、「이 밤은 짧기에」(この夜は短いから)とあるようにクラブで踊っているようなイメージでしょうか。ほかにもいろいろ考えられるとは思いますが……。90年代に絞るとこの「7Mile」の曲が思い浮かびます。「恋人が離れていってしまいそうで悲しいけど、放っておかないと(あなたが好きなようにさせないと)  でもやっぱり無理だ もう一度チャンスをくれ」という恋の歌です。

■7 Mile – Do Your Thing (98)

14:코스모를 느낀 거야 난 (KOSMOを感じたんだ僕は)の「코스모」(KOSMO) (2:47)

 86年から90年にかけて週刊少年ジャンプで連載された聖闘士星矢に出てくる小宇宙(コスモ)でしょうか…?一般的な宇宙を表す場合「cosmo」ですが、公式MVの日本語字幕が「KOSMO」になっており、途中出てくる「광야」(広野)も日本語字幕では「KWANGYA」となっているため、固有名詞な気もします。「KWANGYA」に関しては少し前にリリースされたaespaの「Black Mamba」の歌詞にも同じ表記で出てくるため、SM Entertainmentの考えている何かの繋がりがあるのではと言われています。

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