『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』元日本ボクシング連盟終身会長・山根明の今「たたかれても たたかれても… ~山根明と妻のその後~」

2020/11/09 18:09
石徹白未亜(ライター)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。11月8日は「たたかれても たたかれても… ~山根明と妻のその後~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 2018年に世間を賑わせた元日本ボクシング連盟終身会長・山根明は今、大阪・生野で、渦中の山根を支えた妻の智巳と今も暮らしている。80歳の山根、52歳の智巳の年の差夫婦だ。

 智巳は韓国出身で、韓国が経済危機に陥った23年前、夫の会社が倒産し、家族を国に残して大阪のスナックへ出稼ぎにきた。のちに夫とは離婚し、娘を女手一つで育て上げる。山根とは10年前、店に客としてやってきたことで出会う。現在、智巳は近所のクラブのオーナーママで、店では山根と夫婦漫才のノリで連日メディアに追われた日々を話し、それが店の売りの一つにもなっている。

 山根は1939年に堺で生まれる。終戦の1945年に韓国人の母とともに韓国に渡るが、現地での反日感情は強く、石を投げつけられることもあったという。その後11歳で日本に戻りボクシングを始め、アマチュアボクシングの指導者の道へ進み、2011年に日本ボクシング連盟の会長に就任する。12年のロンドンオリンピックでは2つのメダルを獲得、山根は貢献から日本ボクシング連盟終身会長に就任。就任記念に金の糸で刺繍された赤いグローブが贈られ、それは山根家の玄関に飾られている。

 しかし18年7月、アマチュアボクシング関係者から山根に対し告発があがる。助成金の不正流用、「奈良判定」とも呼ばれた不正判定、さらに暴力団関係者との交際までがスクープとして取り沙汰され、山根は渦中の人となる。山根は助成金の流用以外は否定したが、暴力団関係者と付き合いがあったことものちに認めた。終身会長の座を降り、その後日本ボクシング連盟側から除名処分を受け、永久追放となった。

 会長辞任から1年、山根は新たな格闘技団体「ワールド・ヤマネ・ボクシングチャンピオンシップ」を立ち上げる。山根には糖尿病の持病があり、智巳は気が気ではないが、ボクシングを通じ山根は活力を取り戻していく。

 そんな山根夫妻にもコロナの影響が直撃する。智巳のクラブは4月から6月まで休業を余儀なくされ、さらに智巳自身も、更年期障害が悪化する。2年前は気丈に山根を支えていた智巳も「一番の壁やな、人生の中で」とコロナ禍の今の心境を話す。クラブのキャストからクラウドファンディングを利用してみてはどうか、と提案があり、山根は最初しぶるも、最終的には自分の宝物である終身会長就任記念のグローブもクラウドファンディングの返礼品として差し出す。

 10月、山根の81歳の誕生日を智巳の店で祝った際、山根は智巳に対し「最後まで俺を守った女」と智巳に感謝の思いを告げる。なお、返礼品として出品したグローブは、やはり智巳の強い意志で守られ、今も山根家の玄関に飾られている。

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