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『007』ショーン・コネリーさん、死去――「時代を象徴する役者」と称賛される一方「私生活ではDV男」と物議も

2020/11/02 17:48
堀川樹里(ライター)
初代ジェームズ・ボンドとして愛されたショーン・コネリー

 現地時間10月31日、人気スパイ映画『007』シリーズの初代ジェームズ・ボンド役で知られるイギリスの俳優、ショーン・コネリーが、バハマで死去した。享年90。晩年は認知症を発症し、意思表示が困難な状態だったが、本人の希望通り安らかな最期を迎えられたという。

 英大手タブロイド紙「デイリー・メール」は、ショーンと45年連れ添った2番目の妻でモロッコ系フランス人画家のミシュリーヌ(91)の、「認知症のため、ここ数カ月は意思表示がまったくできなくなり、人間らしい生活を送れていなかった。でも、最期は眠りながら、とても安らかに息を引き取れた。ずっと一緒にいて看取ることもできた。彼が望む通りの最期を迎えることができた」という言葉を紹介。

 「彼は立派な人だった。一緒に素晴らしい人生を送ることができた」「“男の手本”のような人だった。彼のいない日常はつらいものになるが、永遠に続くわけではないし。安らかに逝けて本当によかった」と、自分に言い聞かせるように語ったと伝えた。

 英「BBC」は、最初の妻で女優のダイアン・シレントとの間にもうけた一人息子ジェイソンの「(ミシュリーヌの連れ子たちなど)たくさんの家族に見守られ、息を引き取った」というコメントを紹介。多くのメディアが、往年の大スターである彼の死をトップニュースで報じた。

 推定2億6,600万ポンド(約360億円)の遺産を残したとみられるショーンは、スコットランドのエディンバラに誕生。14歳で社会に出て働き、牛乳配達員やトラック運転手、海軍の軍人など、職を転々とした。そんな中、ボディビルにはまり、1953年に出場したミスター・ユニバース・コンテストで第3位に入賞。これがきっかけで本格的に役者の道に進み、62年から5作にわたりボンド役を演じた『007』シリーズで、不動の人気を確立した。

 『アンタッチャブル』(87)ではアカデミー賞を獲得、『インディー・ジョーンズ』シリーズのヘンリー・ジョーンズ役でも高い人気を得て、2000年には英王室から「ナイト」の称号を授かるなどしたのち、06年に役者引退宣言をした。

 65年に受けた男性誌「プレイボーイ」のインタビューでの、「ビッチやヒステリックな女は、叩いて黙らせなければならない」という発言が問題視され、05年には最初の妻ダイアンから「婚姻していた11年間、家庭内暴力を受けてきた」と暴露されるなど“DV男”というレッテルも貼られたが、「俳優としては最高」「時代を象徴する役者」と世界中の人から愛された。

 ショーンの訃報を受け、数多くのセレブがSNSに追悼メッセージを投稿。6代目ボンド役のダニエル・クレイグは、インスタグラムに「ひとつの時代、ひとつのスタイルを定義づけた人物だった」とつづり、大先輩の死を悼んだ。

 本人の遺志により遺体はバハマで火葬され、日をあらためて告別式が行われるとのこと。遺灰を故郷のスコットランドに戻すのかどうかは、まだ明かされていない。

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2020/11/02 17:48
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