[再掲]悪女の履歴書

Dir en grey・京になりすました男だけじゃない! 「元華族」を偽り結婚式開催、マスコミを熱狂させた“伝説の詐欺事件”とは?

2020/10/23 18:02
神林広恵(ライター)

筆者にも届いた「招待状」

 発端は、この年の2月に送られた「有栖川記念奉祝晩餐会」の招待状だ。その送付数は2千通ともいわれているが、彼らはさまざまなツテや、一度しか面識がない人々にまで結婚招待状を送りまくっていた。送付された人の中には何人ものマスコミ関係者がおり、「本当に有栖川家の継承者なのか」「末裔なんて嘘だろう」とその胡散臭さを嗅ぎ取り、“皇室詐欺事件”ではないかと裏付け取材が行われていた。

 実は筆者も、この招待状を受け取った1人だ。

 結婚式が行われる前年の02年末、著名人が集まるあるチャリティー・ショーが行われたが、筆者もそこに取材のため出席し、“知人の知人の知人”のような形で坂上と名刺交換をしている。当時の彼女は確かに活発で、物怖じせず、バリバリ働いている女性という印象だったが、一方で少々押しが強く、初対面なのに距離感が近いという感想を持った。ほんの短い時間だが、当時は“彼氏募集中”といっていた気がする。それだけの関係だったが、なぜか翌年2月に“有栖川宮記念”と記された立派な結婚式招待状が送られてきたのだ。

 名刺交換した人間なら誰彼構わず招待状を送っているとのうわさは聞いていたが、筆者も当時仰天したことを覚えている(残念ながらお金がもったいないので出席はしなかったが)。

 しかも、関係者をさせたのは、それからしばらくして送られてきたもう一通の招待状だった。前回の式はキャンセルとなり、別の日、別の場所、つまりカナダ大使館地下に変更になったという案内。華族という由緒正しき結婚式にあるまじき事態だとこれまた話題になった。

 ますます怪しさを増していく有栖川結婚式。そのため2人にアプローチするマスコミもあったほどだ。そして4月6日、晩餐会が開かれて以降、この“騒動”はさらにヒートアップしていく。

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