オンナ万引きGメン日誌

「セルフレジ万引き」増加中! 商品をスキャンせず持ち逃げ、バレると「機械のせい」……万引きGメンはどう出る!?

2020/10/24 16:00
澄江(保安員)

フルセルフレジ導入で人員コスト削減も「全て無駄」!?

 当日の現場は、大型ショッピングセンターY。挨拶のため総合事務所に到着すると、店長はお休みとのことで、どことなく亀田史郎さんに似ている副店長が対応してくださいました。形式的な挨拶を済ませて、いつものように注意事項を確認すると、副店長が苦虫を噛み潰したような顔で言います。

「ここは、セルフレジでチェッカーをスルーする人が、たくさんいてさ。導入してからは、売場で商品を隠す人を、全然見かけなくなったくらいなんだよね」

 この店は、将来的に店舗の無人化運営を見据えているようで、店員さんが商品をスキャンして、支払いのみ機械でするセパレート式のセルフレジだけではなく、その全てをお客さんが行うフルセルフレジも複数台導入しています。お客さんに精算の手間を預けることで、確かに人員コストは下げられるかもしれませんが、不正行為による被害を考えると、その全てが無駄のような気がしないでもありません。

「あなた、そういう人も、捕まえられるの?」
「はい、何人か扱ったことあります。否認される方が多いから、大変なんですよね」

 フルセルフレジにおける犯行は、捕捉後に犯意を否認される方が目立ち、その処理には余計な時間がかかります。悪い人の目で監視スタッフの様子を窺い、おかしな手つきで商品を隠しているにもかかわらず、精算したつもりだったと居直る人が多いのです。一見して、言い訳しやすい環境と思えますが、各台には比較的高性能の防犯カメラが設置されており、咄嗟に思いついたような嘘は通用しません。精算の様子は一部始終記録されており、その映像からも犯意は特定できるのです。

「そうなんだ。大変でしょうけど、今日はセルフレジを中心に警戒してもらえるかな。期待してますよ」

 セルフレジを中心にと言われても、商品を手にするところから見ないと、なにも始まりません。通常通りに巡回をして不審者の発見に勤しみ、その結果として、そうした手口を用いる被疑者が現れるのです。いつも通り、比較的高価で万引きされやすい商品を手に取る方々を確認して回ることに決めた私は、化粧品や高級食材などの売場を中心に警戒することにしました。

 すると、勤務中盤に差し掛かったところで、どことなく工藤静香さんを意識している感じがする50代前半と思しき髪の長い痩せた女が目に止まります。ポイントデーでもないのに、比較的高価なオリゴ糖と蜂蜜のボトルを3本ずつカゴに入れるところを目撃してしまい、ちゃんと買うのか気になったのです。追尾すると、次に複数のクレイジーソルトをカゴに入れた女は、牛すね肉、スペアリブ、菓子パン、モッツァレラチーズ、そして最後に高価な赤ワインを2本カゴに入れて、レジの方へと向かって行きました。

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