【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

10万円の入場券、55万円のカラオケ大会……“金”が飛び交うスピリチュアルイベント「シンデレラ・プロジェクト」潜入レポ

2020/10/28 22:00
黒猫ドラネコ(ライター)

55万円の“対価”を払ってステージに立つhappyファン

何度もお色直しをするhappy(撮影:黒猫ドラネコ)

 さて、happyいわく5,000人(見た感じは2,000~3,000人)が会場に集まり、オンラインでも多数の人が見守る中、1日目のイベントがスタート。オープニングでは、happyがダンサーを従えてオリジナル曲を熱唱しながら、さっそうと登場します。その後、彼女が「私たちは瞑想集団」と口にすると、会場は暗転。突然、会場全体で“瞑想タイム”が始まったので焦りましたが、そういえばhappyは、インスタライブでよく「オンライン瞑想」を行っているので、彼女のファンは慣れっこなのでしょう。なんの違和感もなく、厳かなBGMが流れる真っ暗な会場の中で目を閉じる集団……「さすが、スピリチュアルイベント」とうなりました。

 続けてhappyは、今回のテーマ「今この瞬間に全てを集め、魂たちよ狂い咲け」を高らかに宣言。「ファン参加型イベント」「あなたが主役」とうたっていることもあり、ステージには15歳から60代後半までの“happyファン”が登場し、一生懸命にモデルを演じたり、踊ったりしていました。その姿は、まさに「狂い咲き」という表現がぴったりです。

 参加者が思い思いの格好で登場するファッションショーでは、出演する方々の「さえなかった頃の写真」がスクリーンに映し出されたあと、その本人がきらびやかな衣装をまとって登場する演出が特に印象的でした。さらには、がん患者の方、闘病中の方、手術を控えた方、不登校の学生、自殺願望のある若者といった具合に、つらい境遇にある人も続々と登場。司会を務めるhappyが「こんなことがあったのよね?」と苦しんだエピソードを出演者から引き出した後、華麗に変身した姿でランウェイを歩く……。2日間で何度もこういった流れがありました。つまりこれは、「私はこんなに変われたんだよ」のお披露目会。その言葉に続くのは、「happyちゃんに出会って」なのでしょう。

 もちろん、ステージに立つ方々の笑顔は素敵でした。ただ、どこかさめた見方をしてしまうのは、出演者は“自らお金を払ってそこに立っている”という事実です。6人限定で出演できる「富豪カラオケ」というカラオケ大会が行われたのですが、参加者の中には、55万円を支払って出場権を買ったという猛者もいて、ステージで気持ちよさそうに歌っていました。決して安くない対価を払い、出番が終わればみんな号泣、感無量……。「夢がかなった!」「happyちゃんありがとう!」といった言葉がステージ上を飛び交い、観客も目頭を押さえて嗚咽をこらえながら、温かい拍手を送る。さすがにこの光景には、違和感を覚えます。

 なお、2日間ともイベントの終盤にはhappyに近しい関係者や、本人がプロデュースした商品などの宣伝、いわゆる「協賛ステージ」が組み込まれていました。2日目は、happyが初めてプロデュースしたという洋服ブランドのファッションショーが行われ、ここだけ“本物のモデル”が登場。ファンがランウェイを歩いていた時とは、どう見ても全然違うステージになっていました。会場後方には、試着ブースまで設けられていて、休憩時間は大混雑。happyが新たに立ち上げた化粧品ブランドの紹介ステージも、わざわざスライドを使ってその効果を解説するなど、まるでセミナーのよう。このイベントは「あなたが主役」では決してなく、主役は絶対的に「happy」であり、彼女の「商品宣伝の場」がメインだったというわけです。

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