『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』「うちらに死ねって言うの?」ショーパブキャストの啖呵「禍の中でこの街は ~新宿二丁目 コンチママの苦悩~」

2020/10/12 17:29
石徹白未亜(ライター)

コンチママ「おっぱいはOKだが……」の一言

 本筋からはそれるが、コンチママが話していたことで気になることがあった。コンチママは、体の性が男性で心の性が女性の人が性別適合手術を受けることは反対のスタンスだが今の若い子は「止められない」と話していた。

 コンチママいわく、おっぱいを入れるのはいいが下(男性器)を取るのはダメ、とのことで、これはコンチママの主義というより、生殖器を取ることでホルモンバランスが崩れ、精神的に苦しくなってしまった人たちを見てきたから、とのことだった。

 医学的な根拠があるのかは番組を見る限りではわからなかったが、ホルモンが原因で精神的に苦しくなってしまうのは全員が全員ではないだろうと思う。「性適合手術さえ受ければ、万事解決すると思っていたのに」などの、理想と現実のギャップもあるだろう。

 しかし、私自身が生理前の不調やイライラといったPMSの症状がひどかった身として、「ホルモン」の四文字を出されると説得力も感じてしまう。あらためて「ホルモン」という、わずかな量でありながら体や精神を左右する、厄介で、かつ、頭と体は別個のものだと教えてくれる存在のことを意識させられた。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は今回の後編。新型コロナウイルスで苦境に陥った新宿二丁目を、店の垣根を越えた期間限定バーイベントで乗り切ろう、と気を吐いていた白い部屋のベテランスタッフ・かんたが新型コロナウイルスに感染してしまう。

石徹白未亜(ライター)

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2020/10/12 17:29
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