『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』「うちらに死ねって言うの?」ショーパブキャストの啖呵「禍の中でこの街は ~新宿二丁目 コンチママの苦悩~」

2020/10/12 17:29
石徹白未亜(ライター)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月12日は「禍の中でこの街は 前編 ~新宿二丁目 コンチママの苦悩~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 LGBTの人たちが集う新宿二丁目。この地に1968年に創業し、半世紀以上の歴史を持つショーパブ『白い部屋』は、2020年3月末、都が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための休業要請を出す3日前から休業をはじめた。72歳のコンチママは50年以上店を切り盛りし、バブル崩壊やリーマンショックも乗り越えてきたが、新型コロナウイルスに対しては「きついですよ」と話す。

 白い部屋は客席20席ほどで、畳3帖程度のステージで10人以上のキャストが入れ替わり立ち代わり踊る、客席を巻き込むような「近さ」が持ち味だったが、密を避けるため振り付けも変更を余儀なくされる。コンチママも人気YouTuberのアディーを店に誘うなど、生き残りのための模索を続ける。

 白い部屋は2カ月以上もの休業後、6月19日に営業を再開。再開日は多くの客で盛り上がった。しかしその後新宿歌舞伎町のホストクラブでクラスターが発生。連日連夜、歌舞伎町全体を責めるような論調の報道も続き、歌舞伎町の隣に位置する新宿二丁目も客足が遠のいてしまう。7月中旬にスタッフが白い部屋を訪れた際に店には客がいなかった。コンチママは週6だった店の営業を週3に減らす。

 店を閉めたままでは家賃など固定費だけが発生し、一方、店を開けてもキャストの日給が発生し、肝心の客足も思わしくない。コンチママは銀行から2000万円を借り、「自分の中で辞めたいという気持ちと、あの子たち(キャスト)がいるからやらなきゃいけない気持ち裏表ある」と銀行関連のものや助成金など、さまざまな書類を前に複雑な心境を番組スタッフに話す。

 一方、キャストにしてみれば店が開かなければ日給がもらえない。週6営業が週3へ減り、店のキャストの6人がこの夏で辞めるという。一方でベテランキャストのかんたは新宿二丁目のほかの店と連携して期間限定のバーを作ろうと奮闘を続ける。

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