オンナ万引きGメン日誌

万引きGメンが語る「YouTuber・へずまりゅう窃盗事件」……スーパーのシャインマスカットを“勝手に食した”老婆の思い出

2020/09/12 16:00
澄江(すみえ)

買い取りを要求すると「もういらないよ」

 その光景を見守っていたホリエモンさんが、鬼の首を取ったような口振りで言いました。

「今日は、全部買っていってもらうよ。お金ないなら、誰か家の人でも呼んでもらえる?」
「いま食べたばかりだし、もういらないよ」
「はあ? 勝手なことばかり言っているけど、あんたさ、払わないまま食べちゃうの、初めてじゃないでしょう? いつも迷惑しているんだよ」
「ここには、たまにしか来ないのよ。あっちのA(近隣のライバル店)には、よくいくけど」

 そういう問題じゃない。整合性のない話を聞いて、認知症の症状だと感じた私は、怒り冷めやらぬ様子のホリエモンさんに警察を呼ぶよう進言しました。

 まもなく臨場した警察官が、老婆の所持品を調べたところ、手書きの「連絡カード」を発見。そこには、老婆の氏名や生年月日、血液型、血圧数値、脈拍、持病などの個人情報が詳細に書かれているほか、連絡先として介護施設らしき名称のゴム判が押されています。早速に警察官が電話をかけて事情を説明すると、職員の方が迎えに来てくれることになりました。姿の見えない老婆の行方を、職員総出で探し始めたところだと話していたそうです。

「どうして勝手に出かけちゃうのよ、心配したのよ」

 ほんの数分で迎えに来てくれた介護施設の女性職員の方に事情を説明すると、老婆が損壊した商品は全て買い取っていただけることになりました。

「ご本人にお願いしても、お支払いただけないのですが、大丈夫でしょうか?」
「預り金があるので、こちらでお支払いいたします。領収証だけいただけますか」

 職員の方によれば、隙を見て施設を抜け出しては近隣の商店を徘徊しているらしく、好きなものが目に入ると見境なく食べてしまうので困っていると話していました。施設内でも、他人の荷物や冷蔵庫まで漁っておられるそうで、ここのところ目の離せない状況が続いていると嘆かれています。

「こんなにたくさん食べきれないでしょうから、みんなで食べましょうかね?」
「あたしは、自分のを食べるからいい。こんな高価なモノ、もらうのは申し訳ないよ」

 自分の担当している商品が被害に遭ったことから、終始殺気立っていたホリエモンさんでしたが、無邪気とも言える老婆の言葉に微笑みを見せてくれて、うれしかったです。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

澄江(すみえ)

澄江(すみえ)

万引きGメン(保安員)歴40年以上。スーパーで品出しのパートをしている時に、万引き犯を捕まえたことがきっかけで、この世界に。現在も週5日は現場に立っている。

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最終更新:2020/09/12 16:00
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