【連載】傍聴席から眺める“人生ドラマ”

6歳の幼女にディープキスした86歳老人――「かわいがりすぎた」「甘えてきたから」法廷での呆れた言い訳

2020/09/22 17:00
オカヂマカオリ(ライター)

60年前にも「幼女へのわいせつ」で逮捕されていた被告

6歳の幼女にディープキスした86歳老人――「かわいがりすぎた」「甘えてきたから」法廷での呆れた言い訳の画像2
(C)オカヂマカオリ

 さて、肝心の動機ですが、S男が法廷で語ったのは「『おじいちゃん、チューしよう』なんて甘えられるとねぇ」「つい、かわいがりすぎた」「とにかく子どもが好きなので」といった、自分勝手でふんわりとした内容でした。「わいせつな気持ちでは全然ない」と言う被告に、弁護士が「ではなぜ、この時はこんな(わいせつな)気持ちになったのか?」と質問しても、やはり「甘えてきたから、つい」「そうなっちゃったんですよね」と繰り返すばかり。

 個人的には、徹底的に討議して「老齢ペドフィリア」について解析してほしかったし、するべきではないかと思っています。“チュー=ディープキス”って、なんだそれ! 子どもを「かわいい」と思うのはわかる! ただ、なぜそこから体を触ったり、キスしようと思うのか!? ……などと、まったく理解できませんでした。

 傍聴している限り、老齢による衰えに加え、S男は語彙が乏しく、社会生活を営むうえで必要なリテラシーも足りない印象でした。実は“前科2犯”であることも判明し、しかも60年ほど前に、やはり幼女に対するわいせつ行為で逮捕されていました。その時に適切な治療を受けていれば、Aちゃんが被害に遭うこともなかったかもしれないと思うと、残念でなりません。

オカヂマカオリ(ライター)

オカヂマカオリ(ライター)

絵も描くライター。傍聴デビューは結婚詐欺師のクヒオ大佐。興味を持った方は古書店で『裁判トリセツ』(インフォバーン刊)を探してみてください。

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最終更新:2020/09/22 17:00
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