その他

妻が怪しい性的セラピーに没頭…三人の子を抱える夫がとった行動とは?

2020/08/25 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

エセスピリチュアルや疑似医学をベースにした科学的根拠のない健康法。そんな「トンデモ」の沼へ、家族がハマってしまった体験を語ってもらう「身内がトンデモになりまして」シリーズ。当連載では長年「子宮系女子」をウォッチングしてきていますが、今回は妻が子宮系にハマったという30代男性N氏の体験談です。

[wezzy_blogcard 56173]

 子宮系女子とは、当初「子宮の声に従って生きれば、健康も運もお金も愛情も手に入る!」と言わんばかりの教義を掲げ、セミナー活動や「女性性開花」を謡うアイテムやサービスを販売する女性たちのこと。

 現在は、中心人物である元・子宮委員長はる氏(現在は八木さやと改名)により自己開示することで集客しようという「自分ビジネス」なるメソッドへ方向転換中ですが、「御まん託(性器の霊視)」「自分メディカル(Web講座のレビューは遠隔エステ!やら遠隔整体!やら謎の単語が飛び交ってます)」など、相変わらずの香ばしさは健在。

 ウォッチャーのあいだでは、『子宮の唄が聴こえない』なる小説が大人気です。作者はサイゾーウーマンで「教祖様注意報」を連載中の黒猫ドラネコ氏。「子宮の唄」なるカルト教団にハマった妻を夫の視点から描くフィクションですが、それをN氏は「あまりにも身に覚えがありすぎて、つらくて読めない」と話します。

みるみるうちに子宮系に傾倒した妻
 子宮系女子に感化されていたというNさんの妻は、現役看護師。Nさんとは同年代で、25歳で結婚。3人の子どもを育てる傍ら非常勤で働き、子どもたちに向けた性教育を行う活動をしていたそう。妻はもともとスピリチュアルカルチャーが大好物。ロミロミを習いにハワイへ行ったり、国内の瞑想合宿に遠征するなど、精力的に走り回っていたとか。

Nさん(以下N):数年前くらいからですかね。会話の中にそれまでは登場していなかった「はるちゃん」という名前が出てくるようになったのは。もちろん、「元・子宮委員長はる」のことです。妻はとりとめもなくこんなことを話していました。ブロガーのはるちゃんって子がね、元風俗嬢でね、稼いでいて、あり方が素晴らしくって……と。

 そんなタイミングで、妻が出会ったのが「タントリックヒーリング」。仙骨と頭に手を置いて「気を回す」だけで、触れられている人がオーガズムに達するというふれこみの妙術(パフォーマンス?)です。私もYouTubeで見たことがありますが、暗がりで横になった女性が下腹部を波打たせて喘いでいるだけで、「催眠? なんだかよく分からない」という感想しか持てませんでした。

N:妻は市役所がバックアップするママたちのNPO活動で、地元の不妊治療院の院長と出会い、その謎ヒーリングについて教えてもらったと話していました。その院長は、オーガズムで子宮が収縮するので、不妊に効くと考えていたそうです。

 院長は男性なので患者さんたちに施術できない。だから代わりに行ってくれる人を探しているという相談が回ってきて、手を挙げたのが妻。その勉強会のために子どもの世話をよろしく、と相談してきたのです。そのころはもうすっかり子宮教特有の言い回しが定着していて、私は私のために生きる! と主張していましたね。

 この勉強会が運営されているのは、SNSを経由したネット上のグループ。そこではヒーラーになりたい人・施術を受けたいだけの人とグループ分けが行われ、後者の「ヒーラー希望」の場合、数万円の入会金を支払うのだそうです。

まるでテレフォン・セックスだった
N:後に知った情報ですが、妻が参加していたヒーラー養成グループではお互いにヒーリングを施しあい、一定数の体験をこなしてから10名以上の推薦を得られると、プレヒーラーとしておひねり制で前者のグループに営業ができるというシステムでした。その金額は、円ではなくて縁(笑)。

 個人的には、遠隔ヒーリングとは、ただただ相手を受け入れ時々それっぽいことを言えば納得してもらえる、手軽な詐欺商法であると思っています。タントリックヒーリングの遠隔は、お互いに呼吸をあわせて感じるままにオーガズムに達することを、オンライン上で見境なく行うといった感じです。

 某ブログを見ると、タントリックヒーリングについてこんな説明がありました。

「たくさんの人とセッションすれば自分を高め、男女ともにオーガズムを体験出来るようになる」「神秘的な肉体が手に入る」「導きが出来るようになる」

 高尚な主張を読みながらも、私の頭に浮かんだ単語は「テレホンセックス」(懐かしい)。というか、テレホンセックスと遠隔タントリックヒーリング、何がどう違うのかよくわからない。ちなみにそのグループでは「ひとりに執着しない」「たくさんの人と愛のまぐわいを行うこと」などの指導があったようですが、たしかに1対1の世界で完結されると、商売になりませんものねえ(そういう意図ではなかったら失礼)。

N:この活動にのめりこんだ妻はスマホ依存症状態になり、家族はもちろん周りをないがしろにする言動が増えはじめました。

 家のことは「私は本当に無理して家事してたんだな~」とか、「本来はしなくてもいいこと!」と言い、子どもが寝たあとはセッションがあるからと、スマホ持参で車にこもるようになりました。しかしそのときはまだ、妻のスピリチュアル趣味にあまり触れたくない気持から、遠巻きに眺めていたのです。ヒーラー候補たちのグループも知りませんでした。

 事態が急展開するのは、N氏が肺炎で入院したときのこと。3日間の入院を経て担当医と相談のうえ急きょ退院すると「こっちにも準備があるので勝手に決めるな」という言葉を投げつける妻。そりゃないのでは……と思いながらも入院生活の疲れもあり自室で眠ってしまったNさんは、夜中に子どもの泣き叫ぶ声で目が覚めます。

N:退院した日は、雨が吹き荒れる悪天候。尋常じゃない雨音で起きてしまったんでしょうか。夜中の3時、妻と寝ていたはずの三男が「ママ! ママ!」と泣き叫んでいる声で目が覚めたんです。リビングに出てきた三男を抱き上げ寝室をのぞくと、一緒に寝ていたはずの妻の姿はなく、ぐっすり眠っている次男のみ。また、車中でのセッションです。さすがに怒りを覚え豪雨のなか車へ向かいドアを開けると、そこにはうっとりした目で通話中の妻の姿が。しかも大事な電話中だからと、通話は継続したままです。

ヒーリングという名の不倫行為
 ひとまず子どもと部屋へ戻り寝かしつけてから、初めてタントリックヒーリングについて詳しく検索を始めるN氏。ヒーリングが終わり戻ってきた妻へそのいかがわしい内容や子どもを放置していることについてを責めると、妻のターンは子宮系女子定番の言葉のオンパレード。「私は私のために生きている」「家族が嫌がるからといって、家族のせいにして活動をやめたりはしない」「欲求にしたがって行動する」。その後妻のスマホを見ると、さまざまな男性との性的メッセージのやりとりの記録や、下着姿の写真を送った形跡があったそうです。

N:もちろん私にも非があります。長男妊娠時に浮気をしたこと。長男が小さいときはワンオペ育児をさせてしまったこと。僕の仕事の都合で、妻の嫌う東京に住まわせていたこと。いろいろな負担をさせていたので、数年前に妻の地元へ引っ越し、家族優先の暮らしができるよう、僕が転職をしています。そういった家族のために心機一転と思って行動した自分の気持ちが裏切られたような想いもあったでしょうか。事態を把握するため、苦し紛れにそのグループに自分も参加しました。

 はじめは妻と仲のいいメンバーから遠隔のタントリックヒーリングを受けたN氏。しかしそこに性的なものは発露せず、「自分がこの一連の流れをどう思っているか」をただただ吐き出す場になったと言います。セッションが終わっては、吐いて泣く。そんなことを3度ほど繰り返した後、ついに妻からの遠隔ヒーリングを受ける機会が訪れます。

N:子どもを寝かしつけてから自分はリビングに、妻は車で出かけ、どこかに駐車した車中から……というやりとりになりました。電話越しにコケティッシュな声を出してくる妻に違和感を覚えながらも息を合わせるという作業を行っていると、妻は喘ぎ声をあげはじめます。ただただ耐えながら、時間が過ぎ去るのを待ちました。そして最後にこう言っていました。「今日のセッション良かったね。あなたにもわかってほしい。私はこうやってみんなを愛しているの」と。

 何度も本当~に申し訳ありませんが、それってやっぱりテレフォンセックス……。しかも「相手をヒーリングしてあげている」という、施術する側の満足感のほうが高そう。余談ですがジェムリンガ(膣に入れるパワーストーン)創始者のひとりと言われる女性も、放浪しながらの売春を「セックシャルヒーリング」と、みずからを「歩き巫女」と呼んでいましたね。セクシャルなサービスにスピリチュアル色を乗せてはいけない謂われはありませんが、施す側も同じ道に引き込まれる人たちも、おきれいな言葉に騙される感があるような。

 さて、この後のNさんの行動は。少し長くなってしまったので、続きは後編でご報告させていただきます。

[wezzy_blogcard 56970]

information
「身内がトンデモになりまして」」「わたしがトンデモだったころ」、みなさまの体験談も募集中です。ご自身の体験を語ってくださる方は、山田ノジルメール「nojiruyamada@gmail.com」へ、ぜひ情報をお寄せください。

最終更新:2020/08/25 20:00
アクセスランキング