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「祖父の遺体」が葬儀場から盗まれた……!? ハリウッドの都市伝説的うわさを、孫の女優が認めた!

2020/08/24 18:23
堀川樹里(ライター)
そんな都市伝説を語れるセレブいないよ!

 永遠の名作『E.T.』の愛らしい天才子役として7歳で世界的に大ブレークした、ドリュー・バリモア(45)。

 母親に連れられ8歳でクラブの常連になり、9歳で飲酒や喫煙、10歳でマリファナ、12歳でコカインを使用し始め、13歳でリハビリ施設に入所。依存症を克服した15歳の時に毒母から独立する裁判を起こすなど成人するまで壮絶すぎる人生を歩んできたが、その後、女優として再ブレーク。私生活では結婚・離婚を繰り返したが、今は娘たちと落ち着いた日常を送っている。

 そんなドリューの祖父はサイレント映画時代のハリウッドで大活躍したバリモア三兄弟のジョン・バリモア。ブロードウェイ出身の演技派俳優で、端正な風貌で人気を博したが、ドリューの父親で俳優のジョン・ドリュー・バリモアが9歳だった1942年5月29日、肺炎と肝硬変のため60歳でこの世を去った。

 このジョンだが、「遺体が盗まれた」という都市伝説的なうわさがある。“死んだ社長に生きているふりをさせる男たちの奮闘”を描いた大爆笑コメディ『バーニーズ あぶない!?ウィークエンド』(1989)はこのうわさをもとに作られたと言われているほど、ハリウッドで有名な話である。

 その「ジョンの遺体が盗まれた」といううわさについて、YouTubeの人気ショー『Hot Ones』に出演した孫のドリューが、「本当にあったこと」だと認めたのだ。

 『Hot Ones』は、約920万人ものチャンネル登録者数を誇るYouTubeチャンネル「First We Feast」の名物ショー。人気YouTubeプロデューサーのシーン・エバンスが、セレブたちに超スパイシーなチキン・ウィング(鶏の手羽先)を食べさせながらインタビューを行うという番組で、あまりの辛さにパニックになったセレブから本音が聞けると評判だ。

 20日に配信された『Hot Ones』に出演したドリューは、シーンから「君のおじいさんの遺体を、“最後のポーカーパーティをするために”って、エロール・フリン、W・C ・フィールズ、サダキチ・ハートマンが盗んだという話。あれって本当にあったこと?」と聞かれ、大きくうなずき、笑顔に。

「答えはYES。ブレイク・エドワーズが『S.O.B.』として映画化したり、『バーニーズ あぶない!?ウィークエンド』もそうだって聞いたことがあるけど」
「私もね、死んだら友達に同じことをして欲しいって願っているの。そういうスピリットって断然支持できちゃう。“みすぼらしい婆ちゃんを支えながら、最後の遊びに繰り出すぞ”ってね!」
「死って、しんみりとして、悲しみにあふれているものじゃない。もちろんそれは理解できるんだけど、もし可能なら、私の時は、みんなに最高にハッピーになってほしい。(葬儀ではなく)お祝いのパーティをしてもらうっていうのが、私の希望だわ」

 と、楽しそうな表情で語った。

 生前、ドリューの祖父ジョンは、俳優のエロール・フリン、コメディアンのW・C ・フィールズ、映画監督のラオール・ウォルシュら悪友たちと一緒に“バンディ・ドライブ・ギャング”を結成。酒を浴びるように飲み、どんちゃん騒ぎをしたりしては悪ふざけをする女ったらし集団のリーダー的存在としても有名だった。

 エロールは59年にリリースした自叙伝『My Wicked, Wicked Ways』で、ジョンが肺炎と肝硬変のため突然亡くなった時のことを回想。悲しみに暮れた彼は、ラオールとロサンゼルスのバーCock’n Bullに繰り出し、ジョンを偲びながら酒を飲んだ。ラオールは通夜みたいなことはやってられないと抜け出し、ジョンの遺体が安置されていた葬儀場、ピアス・ブラザーズ・モーチュアリーに向かった。そして葬儀業者に袖の下を渡し、ジョンの遺体を自分の車まで運び、エロールの邸宅に移動。寝ぼけているエロールの執事に「バリモア氏が泥酔してしまってね。手を貸してくれないか」と声をかけた。

 執事は「まるで死んでるように見えますけど」と渋ったが、「泥酔した彼を見るのは、別に初めてではないだろう」と説得。家の中に運び込み、ソファに座らせた。そしてラオールが執事に「バリモア氏にコーヒーを作ってくれ」と頼んだ直後に、エロールが帰宅した。コーヒーを運んできた執事にジョンのことを言われ、ソファーに座らされた彼の遺体に気がつき仰天、絶叫しながら家を飛び出し、「早く(遺体を元の場所に)戻せ! サン・クエンティン(州立刑務所)にぶち込まれるぞ!」と怒鳴った。

 ラオールは渋々遺体を安置所に戻したそうだが、有名俳優であるエロールの邸宅に運んだのだと知った葬儀業者は「そうだと知ってたら、もっと良いスーツを着せましたのに!」と冗談を言ったと伝えられている。

 73年に映画史家リチャード・シッケルのドキュメンタリー『THE MEN  WHO MADE THE MOVIES』でもラオールは、「エロールの自叙伝に記されたことは本当。悪ふざけだったんだ」と公式に認めた。しかし、ジョンの公式伝記には、遺体を安置していた葬儀場には有名な娼婦しか現れず、「ひざまずいて祈り、無言で去っていった」と記されていること、また、“バンディ・ドライブ・ギャング”の一員だったジャーナリストのジーン・ファウラーは「葬儀場に行ったのは自分と息子だけ」だと主張していることもあり、「遺体を盗み出して悪友の家に連れて帰るなんて、あり得ないでしょ」と疑われ、やがて都市伝説扱いされるようになってしまった。

 ちなみに、エロールは憧れていたジョンの死に大きなショックを受けたが、その後、ジョンの娘でドリューの叔母に当たるダイアナ・バリモアが原作を手掛けた伝記映画『Too Much, Too Soon』(58)に出演し、ジョン本人を熱演した。しかし、この映画の公開後まもなくしてエロールも肝硬変などにより50歳の若さで死去。ダイアナも公開から2年目に薬物の過剰摂取で急死し、呪われた映画と言われるようになった。

 ドリューがゲストとして出演した『Hot Ones』だが140万回近く視聴され、4.8万もの「いいね」を集め、6000近くのコメントが書き込まれるなど大好評(8月24日午後6時現在)。ネット上では、祖父の遺体を友人たちが盗んだというエピソードが美談として拡散され、「いかにもハリウッドって感じ」「悪友って最高の友達だよね」と大盛り上がりしている。

 ジョニー・カーソン司会のトークショーに出演した7歳の時の映像と、現在の彼女の映像をうまい具合に組み合わせた「自分で自分にインタビューする動画」が、先日、大きな話題となったドリュー。この動画は現地時間9月14日にから米CBS系列で放送がスタートする、昼のトーク番組『The Drew Barrymore Show』のプロモーションなのだが、ネット上では早くも「『エレンの部屋』に取って代わる国民的トーク番組になるのでは!?」と期待する声が多数上がっている。

 今回の『Hot Ones』も、ハリウッドの名門一族出身である彼女だからできるおもしろトークだったと高く評価する人が多かったが、果たして『The Drew Barrymore Show』ではどのような話が聞けるのか? 今から楽しみだ。

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2020/08/24 18:23
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