高校野球の応援席から

甲子園中止、今だから言える“チアリーダー”のホンネ……「男子の応援」に駆り出される女子が抱える、密かな葛藤

2020/08/15 14:00
冷田夏子(ひえた・なつこ)

大人も子どもも「性的視線」に鈍感だった

 では、チアリーダー本人にそのような視線が向けられている意識があるかというと、私の知る限り、一応は「ある」。「ある」けれど、わりと無頓着だった。「女子だからそのように見られる」「女子だからそのような期待がされる」というよりも、ユニフォームがミニスカートであることから「チャラそうに見られてしまう」という意識のほうが強かった印象で、また、活動する上での「弊害」というほどの問題意識はなかったように記憶している。

 高校では、チアリーディング経験のある女性教員が顧問を務め、指導にあたっていたのだが、顧問からは「“チアの子”はどうしても目立つし、チアをよく知らない人は、短いスカートでポンポン振っていてチャラそうに見られることもあるから、誤解や偏見を受けないためにも、練習だけでなく日頃の振る舞いにも気をつけるように」と、口を酸っぱくして言われていた。“チアの子”は遅刻せず、授業に真面目に取り組み、校則を守り、教師に口答えをするな、ということだ。

 一方で、「性的視線」に晒されてしまう可能性に言及することは滅多になかった。社会人スポーツの応援を依頼されてスタジアムに出向いた際、「万が一、変なおじさんとかいたら教えてね」と言われた程度だ。顧問や学校側も、“チアの子”たちが「性的視線」に晒されることよりも、「チャラそうに見られる」ことを危惧していたのだろう。

 大学時代も、チアリーディング仲間の間で、自分たちが「性的視線」に晒される可能性について、話題になることはほとんどなかった。「チャラそう」と誤解されがちという意識は多少なりともあったが、その打開策は「すごい技やって、“チアガール”とか馬鹿にしてくるやつを黙らせよう」「馬鹿にしてくる人は相手にするな」といった、体育会系にありがちな手法だった。そもそも、チアリーダーたちへの「誤解」を生む要因は一体どこにあるのかと考えたり、議論したりということ自体なかった。練習はハードで上下関係も厳しく、無意味としか言いようがない規則に縛られ、そのようなことを議論する余裕もなかったからだと思う。

 ちなみに、私たちの間で「チアガール」とは、チアリーディングのことをわかっていない人がバカにして使う“侮蔑的な造語”という認識で、とにかく「黙らせる」という反骨精神に火をつけた。

週刊ベースボール増刊 高校野球マガジン(15) 2020夏 展望号[全国版] 2020年 7/31号 [雑誌]
一歩離れると見えてくるおかしさ

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