大スターが出演する駄作映画

「ヌード以外いいとこなし」「ドラゴンボールファンに謝れ!」酷評まみれの“恐るべき駄作”7作

2020/07/14 19:30
堀川樹里(ライター)

テイラー・ロートナー 『ミッシング ID』(2011)

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 大ヒット映画『トワイライト』(08~12)シリーズで人狼・ジェイコブ役を演じ、世界的に大ブレイクしたテイラー・ロートナー。同作には熱狂的なファンが多く、テイラーの人気は揺るぎないものとなり、次世代ハリウッドスターの座は間違いないとみられていた。

 主演したスパイ・アクション映画『ミッシング ID』の撮影も、テイラーのスケジュールを優先し、彼の父親が製作に参加。エキストラを募集したところ900人もの『トワイライト』ファンが集まり、ヒットが期待された。

 「オンライン上で偶然見つけた『児童失踪者リスト』の中に自分が含まれていることを発見し、これまでの人生はすべて偽りだと気づいてしまった高校生が、命を狙われるようになる」という同作。多くのテイラーファンが映画館で鑑賞し、製作費3,500万ドル(約37億5,000万円)に対し、興行収入は8,200万ドル(約88億円)と成功を収めた。

 しかし、「テイラーが高校生に見えない……」と違和感を覚える人が続出。映画評論家のレビューは、「ストーリー、キャスティング、アクション、すべてが薄っぺらく、つまらない」「B級よりもひどい、D級映画」と酷評ばかりで、米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」の評論家からのスコアは、100点満点中5点という超シビアなものに。

 『トワイライト』シリーズで共演したクリステン・スチュワートやロバート・パティンソンは映画俳優としてのキャリアを着実に積み上げて銀幕スターとなったが、『ミッシング ID』で役者としての評価を大きく下げたテイラーは、ビッグスクリーンでの主役オファーが途切れてしまった。

エディ・マーフィ 『プルート・ナッシュ』(2002)

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 『ビバリーヒルズ・コップ』(84~94)シリーズ、『星の王子 ニューヨークへ行く』(88)など、80年~90年代に出演した映画はほぼすべてが大ヒットし、天才喜劇俳優の名をほしいままにしていたエディ・マーフィ。

 そんな輝けるキャリアの失速となったのが、「近未来の無法地帯と化した月面都市」が舞台のSFアクションコメディ『プルート・ナッシュ』だった。「Rotten Tomatoes」の評論家スコアは、100点満点中たったの4点で、「才能と金の無駄」「つまらないし、薄っぺらいし、醜い。史上最悪のコメディ」「なんでこんな作品を製作しようと思ったのか、理解に苦しむ」と酷評されまくり。甘口で知られる、同サイトの観客スコアでさえもわずか19点で、「1,000ドル(10万円)あげると言われても二度と見ない」と書き込まれる始末。「エディのキャリアの汚点」「これでエディの喜劇役者としてのキャリアは終わった」などと書き込まれる始末だった。

 同作はラジー賞でも多数ノミネートされ、エディ本人も最低主演男優賞にノミネートされ、“02年にエディの喜劇俳優としてのキャリアは終わった”とまで言われたものだった。エディの出演料が高かったこともあり、製作費は1億ドル(約107億円)もかかったが、興行収入はたったの710万ドル(約7億6,000万円)と大コケし、「ギャラ泥棒」と大バッシングも受けた。

 『ホーンテッドマンション』(03)、『ドリームガールズ』(06)への出演でエディのキャリアも復活したかに思われたものの、ラジー賞25周年を記念した05年に、『プルート・ナッシュ』は「25周年最低コメディ賞」にノミネートされる。09年には業界紙「Hollywood Reporter」に「この10年で最大の失敗作」と評され、エディも「あのクソ映画に主演した俳優」というレッテルが貼られるハメに。そして、やがて「あの人は今」状態となり、15年頃からは度々死亡説まで流れるようになった。

 そんなエディだが、昨年Netflixで配信された『ルディ・レイ・ムーア』で再ブレイク。この勢いに乗り、また活躍してほしいとファンは願っている。

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