おしどり夫婦だと思ってたのに!

ドクター・ドレーの妻が離婚申請、財産分与で「516億円」を手に入れる? 「金にがめつい」「もらって当然」と賛否両論

2020/07/04 12:10
堀川樹里(ライター)
想像もつかないほどのお金持ち

 伝説的ラッパーで、今なお名音楽プロデューサー・実業家として米ヒップホップ界に多大な影響を与えているドクター・ドレー。現地時間6月29日、5月に結婚24周年を迎えたばかりの彼が、妻のニコール・ヤングに離婚申請をされたと報じられた。交際数カ月でスピード結婚した2人は、婚前契約を結んでおらず、離婚申請に際し有名な敏腕弁護士を雇ったニコールが、どれだけの財産分与を受けるのかに注目が集まっている。

 1992年にプロバスケ選手のセデール・スリーットと結婚し、ドレーと出会った時は既婚者だったニコール。ドレーから「セデールなんてやめて、うちに来い。おまえのことはオレが面倒を見る」という熱いラブレター攻撃を受け、あっさり離婚。16歳で最初の子の父親となったドレーは、当時すでに4人の女性との間に4人の子がおり、毎月かなりの額の養育費を支払っていたはずだが、ニコールは迷わず彼と再婚。2人の子どもを産み、ドレーに温かな家庭を与えた良妻として知られるようになった。

 ドレーはニコールと結婚後、音楽プロデューサーとして大成功を収め、同業者のジミー・アイヴォンと共同で立ち上げたヘッドフォンブランド「Beats by Dr.Dre」が爆発的な大ヒットとなり、実業家としても認められるように。14年には同ブランドをアップル社に30億ドル(約3220億円)で売却。18年にはアップル社から株の一部を譲渡され、昨年、経済誌「フォーブス」が発表した「2019年度 ヒップホップ大富豪ランキング」では、総資産8億ドル(約860億円)で、ジェイ・Zに続き第2位にランクインした。

 しかし、いいことばかりではなく、彼の所属していた伝説的ギャングスタ・ラップグループ「N.W.A.」を描いた映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』(15)公開後、ドレーが当時付き合っていたミッシェル・トゥッサンとタリー・Bに暴力を振るっていたことが作品の中で一切触れられていないと批判され、DV男と大バッシングを受けるように。ドレーは「25年前、オレは酒を浴びるように飲んでいたクソ男だった」「傷つけた女性たちに謝罪する。自分がしたことは後悔し、反省している」「長年の結婚生活で、家族のためによき人間になるよう努力しているんだ。もう絶対に、あんな男にはならない」と謝罪声明を発表し、ニコールは妻としてドレーを支えた。

 実はドレー、「N.W.A.」について否定的な記事を書いた女性ジャーナリストや、ドレーの娘を産んだリサ・ジョンソンに暴力を振るった過去がある。ドレーは、自身に染み付いたDV男というイメージを消したいと思っており、17年に米「HBO」局で放送されたドキュメンタリー番組で若かりし頃を振り返り、「女に手を上げる男は最低だ。オレはあの頃、そういう男だった。どうかしていた」「罪は償った。反省しているし、謝罪もした」「このことは生涯自分につきまとうだろう。男としてひどい汚点だ」などと猛省の弁を述べている。

 18年秋には、ニコールとの写真をインスタグラムに投稿し、おしどり夫婦だとアピールしていた。イベントには夫婦そろって出席することが多く、今年2月に開催されたファッションショーにも手をつないで笑顔で出席。ドレーは、その後受けたインタビューで、「今年の誕生日(2月18日)は、少人数の友人を招いて、妻にカニをゆでてもらおうと思ってる」とうれしそうに語っていたが、それからわずか4カ月後、2人は離婚に向けて動きだすことになってしまったのだ。

 ニコールが裁判所に提出した離婚申請書に記載した破局理由は、「性格の不一致」。ネット上では、「長年DVやモラハラに悩んでいたが、息子が23歳、娘も19歳と手を離れたので、離婚を決意したのではないか」「よくある熟年離婚ではないか。50歳になり、第二の人生を歩むために、独身に戻りたかったのだろう」といった推測が見受けられる。

 ニュースサイト「MTO」は、「婚前契約を交わしていない場合、財産分与は夫婦同等の割合で行われる。しかし、ドレーの保有するアップル社の株などは、株価上昇の可能性があるため、その点が考慮され、ニコールはドレーの総資産のうち6割を手に入れる可能性がある」という米CNN局の法律コメンテーターの見解を紹介した。

 複数のメディアは、ニコールが、離婚後も結婚していた時と同じ生活レベルを維持するための「配偶者扶養手当」を求めていると報じたが、もし彼女がドレーの総資産8億ドルのうちの6割(4億8000万ドル/約516億円)を手に入れたら、配偶者扶養手当はもらえないのではとの推測も。ちなみに、2人の子どもたちの年齢を考えると、ニコールが養育費を求めることはなさそうだ。

 ネット上では、おしどり夫婦だと見られていた2人の離婚報道に驚く声が多いが、中には「白人女と結婚するから、稼いだお金をごっそり取られることになるのよ」「黒人女優アイシャ・タイラー(『クリミナル・マインドFBI行動分析課』のDr.タラ役)も、元夫の白人弁護士に200万ドル(約2億1500万円)の配偶者扶養手当を支払った。ハル・ベリーも、娘の父親である白人モデルに多額の養育費を支払ってる。お金にがめつい白人とくっつくと、こういう痛い目に遭うんだよね」などと人種ネタで盛り上がる者もいるが、「人種関係ないと思う。婚前契約していなかったんだから、取れるだけ取ろうと考えるのが普通」「四半世紀近く一緒に人生を歩んできたのだから、これぐらいもらって当然」といった意見も上がっている。

 ドレーは、6月30日にリリースされた、カニエ・ウエストの新曲「Wash Us In The Blood」のリミックスを担当。プロデューサーとしての才能もまだまだ健在だと、高く評価されている。離婚によって資産が3億2000万ドル(約344億円)に目減りしたとしても、巻き返す可能性は十分にありそうだ。

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2020/07/04 12:10
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