【連載】現役コスプレイヤーが“業界の闇”ぶっちゃけます。

“豊胸の名医”Sクリニックの激安手術で大失敗! “整形”という沼で見た、女たちのマウント合戦

2020/06/20 18:00
椎名蜜(ライター)

カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!

豊胸の名医Sクリニックの激安手術で大失敗! 整形という沼で見た、女たちのマウント合戦の画像1
(C)椎名蜜

 前回、コスプレ業界内で整形のウワサがある人たちをぶっちゃけましたが、今回は「なぜ整形するの?」という疑問にお答えします。あくまで“趣味”としてやっていることに、我々コスプレイヤーはなぜお金と時間をかけるのでしょうか?

 まず、ひとくちに「コスプレイヤー」といっても、いくつか種類があります。作品やキャラクターが好きで、趣味の一環としてコスプレを楽しむ人から、自分の写真集を作ってイベント等で自主販売する人、コンパニオンやグラビア的な仕事も引き受けて“商売”にしている人などさまざま。中でも、コスプレを商売にしている人たちは「商業レイヤー」と呼ばれており、この人たちの整形率が圧倒的に高いです。

 私自身の経験からして、商業レイヤーには“ヒエラルキー”があります。わかりやすい基準となるのは、「写真集の売り上げ」「撮影会の集客率」「イベントでできるカメラマンの列」「SNSのフォロワー数」で、多ければ多いほどヒエラルキーが上になります。キャバクラやホストでも整形する人はいますが、彼らは見た目だけでなく、“接客”で自分の魅力を売り込み、のし上がっていくことができますよね。しかし、コスプレイヤーはほぼ外見でレベルが決まってしまうので、見た目に執着する人が多いんです。「キレイになりたい」という思い以外に、ほかのレイヤーにマウントを取るためだったり、より多くの企業から声をかけてもらうために整形する人も、少なからずいると思います。

 また、コスプレイヤーは写真のレタッチを自分で行う場合が大半です。見えちゃいけないもの(乳首やムダ毛など)を消す作業のほか、毛穴やニキビ跡をぼかしたり、人によっては輪郭や目の大きさを修整する場合もあります。こうやって、自分の“欠点”と向き合う作業を続けていると、「シミをレーザーで取りたい!」とか「二重幅を広げて目を大きくしたい!」とか、そんな欲求がたまってくるんです。写真をイジりすぎて、イベント会場で「実物と大違い!」と思われるのも嫌ですし。コスプレイヤーの場合、修整した写真の自分に、金をつぎ込んで近づけていく作業が整形だといえるでしょう。

「豊胸の名医」Sクリニックの手術で大失敗!

 何人かの商業レイヤーさんと仲良くしていた頃、飲み会でカジュアルに美容情報の交換をしていました。「ハイドロキノンを乳首とマ〇コに塗りたいけど、何%から始めればいいの?」「ホクロを1個500円で消してくれる激安皮膚科があるよ」とか、マニアックな内容も多いです。

 そんなコスプレイヤー御用達の美容整形外科といえば、激安と有名なSクリニック。本当に激安なので、私もSクリニックで豊胸手術をしましたが、これが大失敗……。その施術を担当したN医師は、今ではSクリニックの“ナンバー2”といわれていて、「豊胸の名医」と有名に。しかし、私の手術を担当した時は駆け出しだったのか、もはや実験台になってしまったようです。胸には手術の時にできたアザが残っているので、CMでN医師を見ると暗い気持ちになります(泣)。

 ほかにも、Sクリニックで豊胸手術をして失敗したレイヤーさんを知っているので、安さに飛びつかないほうがいいですよ。失敗した後に知りましたが、豊胸なら、院長が健康に関するさまざまな著書を出している、Nクリニックが評判いいです。……私も今度行ってみようかな(笑)。

 ちなみに、院長がコスプレイヤーで、「目指せ!修整なしでもキレイなコスプレイヤー」というキャッチコピーを掲げている美容整形外科もありました。コスプレイヤー専門グッズを扱う店にも、鼻を高くするための「鼻プチ」や、輪郭をシャープにできる「リフトアップテープ」、目頭切開をしたような見た目になる「スリットアイ」という商品が販売されています。こうした商品を普段から使用し、コンプレックスが解消された顔に見慣れてくると、思い切って整形をするコスプレイヤーが多いのでしょう。コスプレ業界と美容整形外科は、非常に近い関係にあるのです。

 それにしても、外見で人のレベルを分けるコスプレ業界って、ルッキズムが批判される現代において、なかなか時代遅れだと感じます。周りの評価に惑わされて、“整形の沼”にハマらないようにしてくださいね。

椎名蜜(ライター)

椎名蜜(ライター)

元グラドル・現役40代レイヤー。現在は過去の面影もなく、ぽっちゃり系。ひっそりとコスプレイベントに参加するも、ウェブ上では活動自体非公開。過去を振り返ってみて、フォロワーもファンも誰もいなくなったけど、今のほうが幸せ。

最終更新:2020/06/20 18:00
美容整形というコミュニケーション
目的を見失うと、“沼”一直線
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