【連載】傍聴席から眺める“人生ドラマ”

“神待ち”で出会った15歳の少女を「引き取って育てる」――孤独な青年が起こした「未成年者誘拐」事件

2020/06/07 20:30
オカヂマカオリ(ライター)

“オトコ”を家に連れ込んでいた、母親への疑問

神待ちで出会った15歳の少女を「引き取って育てる」――孤独な青年が起こした「未成年者誘拐」事件の画像2
(C)オカヂマカオリ

 それにしても、気になるのは少女の母親です。家にオトコを連れ込んで、娘の居場所を奪っていたことが明らかになり、それだけでもひどいのに、他人の家から「お母さん心配しないで、大丈夫」とLINEをしてきた娘の心情を、どこまで理解していたのでしょうか? 本当に娘を心配していたら、もっと早く通報していたと思うのですが……。もちろん、保護者には監督責任があるわけで、むしろこの母親を証人として呼んでほしかったところです。

 O太が最後に「(神待ち少女を招き入れても)寂しさを埋められるものではなかった」と言っていたのは、ある種“救い”だったと思います。成人が未成年と2人きり、個室で一晩過ごすといった「みだらな性行為又はわいせつな行為」を疑われるようなことをすると、少女が被害を訴えた場合「青少年保護育成条例違反」になる可能性が出てきます。これでO太が「少女で寂しさを埋めることができる」と感じてしまえば、また同じことを繰り返していたでしょう。

 こんな世の中ですが、O太がきちんと罪を償ったあとは、少しずつでいいから実社会に慣れて、寂しさを自身で埋められるようになってほしいものです。

オカヂマカオリ(ライター)

オカヂマカオリ(ライター)

絵も描くライター。傍聴デビューは結婚詐欺師のクヒオ大佐。興味を持った方は古書店で『裁判トリセツ』(インフォバーン刊)を探してみてください。

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最終更新:2020/06/07 20:30
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