「元極妻」芳子姐さんのつぶやき77

ヤクザの人数が“史上最少”に! 元極妻が語る、「暴力団員が15年連続で減少」のワケ

2020/04/12 16:00
待田芳子(作家)

ヤクザをやめても行き場はない

 これも何度も書かせていただいていますが、やめた組員はどこへ行くのでしょうか? 指はないし、あるのは刺青と犯罪歴だけ。まず雇ってくれませんよね。雇ってくれるところもなくはないですが、簡単ではないですよね。

 4月5日に関東圏で放映された『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)の「余命3年の社長と刑務所を出た男 前編~塀の外の夢と現実~」は、日本で最も多く元受刑者を雇い入れていることで知られる北海道の北洋建設の小澤輝真社長を取材していました。

 小澤さんは難病を患い、余命3年を宣告されていますが、刑務所から届く手紙にはすべて返事を書くなど、受刑者や元受刑者に寄り添っていて、懲役の間では有名な方です。小澤社長は、とても情熱のある立派な方ですが、採用した元受刑者の定着率は1割ほどだそうです。それはそうだと思います。ヤクザではなくても建設現場は難しいでしょう。

 きつい、汚い、危険の上に、腰が悪くなる、恋人ができない、結婚できない、休暇が取れない、格好悪い、窮屈、臭い――と、堂々の10K職種ですからね。北洋建設さんのところへ行くのはカタギが多いようですが、ヤクザにも建設現場はハードルが高いと思います。

 作家の宮崎学さんのベストセラー『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年』(絶版)などによると、宮崎さんのお父様はヤクザの親分で、解体業を営んでおられました。お父様の若い衆は、みんな建設現場で鍛えられているから、日に焼けていて力もケンカも強かったけど、一般的な博徒は夜中にバクチを打っているだけなので、色白でケンカも強くなかったそうです。

 つまり「ヤクザ=マッチョな建設現場もOK」というのは神話なんですよ。ヤクザ組織だけが居場所だった「元組員」たちが、組を離れた後に半グレなどと組んで、「より悪いこと」をするのは当然です。ヤクザが減ったと喜ぶのはどうなんでしょう?

待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2020/04/12 16:00
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