これ以上感染者を出さないためにも……

休校延長、地方小学校教師が「全国一律で休校継続を」と悲鳴――東京都などGW明けまで延長、現場の声

2020/04/03 11:00
昼間たかし(ひるま・たかし)

「全国一律で休校継続を」

 とりわけ休校の延長による影響が懸念されているのは、小学校だ。

「近頃の新入生には、かつて家庭で教えられてきたようなことがわからないまま入学してくる児童が多い。例えば、列に並ぶことができない、右左がわからない。また、給食時の三角食べにはじまって、食事のマナーや鉛筆の持ち方なども、まったく理解できていないことは当たり前なんです。新1年生を受け持つ教師の最初の仕事は、ゴールデンウィーク前に、そうした最低限のことを身につけさせること。そこから1年計画で教育をしていくわけですが、休校が長引くほどその計画が破綻していきますから、教師たちは混乱してしまいますよね」(都内の小学校教師)

 休校措置に伴う対応として、夏休みの短縮が検討されているが、ほぼ1カ月登校日が遅れることによる混乱は、1年は続くと見られている。現在、多くの小中学校では隔週週休2日制が取られているため、かつてに比べると、年間授業時数と運動会や学園祭、遠足などの学校行事の配分に余裕がないのだ。また、単純に夏休みを短縮した場合、まだ体が出来上がっていない小学生の中には、十分に体調管理ができず、授業中に熱中症などで体調を崩してしまう児童が出てくる可能性も考えられ、さらなる混乱を招くのではないかとも考えられる。

 ただ、感染者数増加により、現時点で休校の延長を決めている東京都など都市部の学校はまだいいほうだろう。感染者の少ない地方では、4月からの学校再開を認めている自治体も多い。

「地域によって方針は違うようですが、うちの学校の場合は、感染した児童が一人なら学級閉鎖。二人以上なら休校。教職員が感染した場合は、協議する予定です。入学式直後に休校なんてなったら、我々だけでなく保護者も大混乱してしまいますから、ある程度落ち着くまでは、全国一律で休校を継続してほしいです」(西日本の小学校教師)

 突如として実施された全国規模の休校措置。しかし、都内でも多くの中高生が街に繰り出している事例が見られ、余計に感染を拡大させているのではないかという疑念もあり、感染拡大の防止に効果があるのかは疑問視されている。

 大規模な外出禁止が実施されている中国では、急遽政府がオンラインでの学習システムを導入するなどの対応を見せている。日本でも早急に在宅学習システムを整えつつ、休校延期の措置を取るのが理想的だが、いまだ「自粛要請」しかアナウンスされない中では、そのレベルの施策なんて、どだい無理な話か……。

最終更新:2020/04/03 11:00
教師になる「教科書」
振り回されるのは、保護者だけじゃない
アクセスランキング