気取らずに、素顔を晒してる!

YouTube、ネトフリ、アマプラで今すぐ見られる! ビヨンセ、テイラー、ジャスティンの等身大ドキュメンタリー

2020/04/12 11:00
堀川樹里(ライター)

依存症に苦しむデミ、兄弟バンドならの苦悩描いたジョナス・ブラザーズ

 

デミ・ロヴァート 『Simply Complicated(単純に複雑)』(17) YouTubeで配信

 6枚目のアルバム『Tell Me You Love Me』(17)の発売に合わせ、YouTubeで公開された公式ドキュメンタリー。

 10年にバックダンサーを殴って更生施設に入り、双極性障害と診断されるまでの経緯を赤裸々に告白。美少女コンテスト、子役、ディズニー・チャンネルのドラマ主演と、とんとん拍子にキャリアを積み上げてきた彼女だが、アルコール/薬物依存症だった父親の言動に傷つき、学校でのいじめも相まって、小さい頃にうつ病を発症。自殺願望に加え、名声が高まるにつれて精神的なプレッシャーを感じ、アルコール・ドラッグに手を出して18歳の時には依存症になっていた。完璧主義者のため、理想のアイドルになりたいとして摂食障害に陥った過程を生々しく語っている。

 また、6年間交際した俳優ウィルマー・バルデラマへの、「別れた後も持ち続けている愛情」を包み隠さず告白。酒やドラッグは断ち切れたが、彼と別れてから過食嘔吐が再発し、苦しんでいると明かしていた。「さびしくなると、おなかがすくの」という言葉もリアルだ。

 ドキュメンタリーでは、キックボクシングや柔術に励み、摂食障害を克服しようと奮闘する姿も映されていた。

 しかし、この作品の公開翌年、残念ながらデミはドラッグの過剰摂取で緊急入院してしまった。そのため、さっそくこの作品が引き合いに出され、「最近までこんなにがんばっていたのに。何度も繰り返してしまう依存症は、やはり怖いものだ」と大きな話題になった。

ジョナス・ブラザーズ 『ジョナス・ブラザーズ 復活への旅』(19) Amazonプライムで配信

 長男ケビン、次男ジョー、三男ニックのジョナス三兄弟が結成したバンド「ジョナス・ブラザーズ」。このドキュメンタリーで、結成秘話、家族の苦悩、人気バンドとしてのプレッシャーや気持ちのすれ違いから13年に解散するまでの経緯、19年に再結成を決心した理由を、3人が自分たちの言葉で語っている。

 05年にコロムビア・レコードと契約し、バンドとしてのスキルを楽しく磨いていたが、ニックが糖尿病を発症したり、教会の牧師をしていた父親が「子どもたちにロックをさせてるなんて!」と職を追われたりと、苦労も多かったジョナス・ブラザーズ。レコード会社から契約を打ち切られ大ピンチに陥ったが、ディズニー(ハリウッド・レコード)から契約をオファーされ、「Year 3000」が大ヒット。さらにディズニー・チャンネルのドラマ『キャンプ・ロック』に主演し、爆発的に売れるようになった。

 SNSを活用し、同世代のファンを一気に増やした彼ら。しかし、ある時期から人気が異常に膨れ上がり、スターとしての生活を楽しめなくなってしまう。人気を失うのを恐れ、来る仕事はすべて受け、ディズニーの番組にも出続けたことから「子ども向けのバンド」扱いされるように。教会で育ったため、キャリア初期には、結婚するまで童貞を守る誓いの指輪をはめていたことをネタにされるなど、つらい思いをした。

 その後、音楽に情熱を注ぐニックは、ソロアーティストとしても成功を収める。結婚して家庭を優先するようになったケビン、ソロデビューしたもののいまいちで覇気のなかったジョーと温度差を感じるようになり、「もう一緒に仕事はできない」と解散を決意。ケビンとジョーは裏切られたと感じ、兄弟仲は険悪になってしまった。

 ジョーはバンド「DNCE」を結成し、人気がブレイク。ニック、ジョー共に人生の伴侶を見つけたことで家族の大切さに気づく。そしてもう一度兄弟で音楽を楽しみたいとバンドを再結成。そこまでに至る気持ちを、それぞれが包み隠さず語る。「今だから語れる」ドキュメンタリーとして、アメリカで大ヒットした。

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