オンナ万引きGメン日誌

地下食品街を荒らす「カフェ店主」摘発! 「万引きで仕入れ」大胆すぎる手口にGメン衝撃

2020/03/28 16:00
澄江(保安員)
写真ACからの写真

 こんにちは、保安員の澄江です。新型コロナウイルスの感染防止対策として、本格的な自粛モードに突入しておりますが、私たちの現場である商店に、あまり影響はありません。店内は連日、買い出し客で大盛況。普段のスーパーでは、あまり見かけないタイプの方々も食料品の買い出しに来られており、食品スーパーが飲食店のお客様を吸い上げている感じがします。その影響は大きいようで、長年にわたり小料理店を営んできた私の友人も、来月いっぱいで店を閉めることになりました。ある程度の資産をお持ちの方なので、この先の暮らしに不安はないようですが「不本意な形で店を閉めることになった」と涙ながらに悔しがっている姿を見て、共に涙したばかりです。今回は、経営するお店の売り上げ低迷を理由に、万引きすることで店の仕入れを図る「万引き店主」についてお話ししたいと思います。

 当日の現場は、東京郊外にある複合商業施設の中にある地下食品街M。精肉や鮮魚をはじめ、青果、総菜、弁当、パン、菓子、輸入食品など、多種多様の専門店が軒を連ねる「デパ地下」に似た雰囲気の現場です。今回は、万引き被害に悩む各テナント様からの苦情を受けた協同組合から、およそ2カ月にわたる食品街全体の集中取り締まりのご依頼を受けました。この日は、その5日目。各店の売場面積は小さく、棚も低いために、一見すると万引きしにくい状況に見えますが、相当数の常習者を抱えているようで、すでに何人かの常習者が摘発されています。通常のスーパーと比べて、質の良い商品を取り扱っているため、万引き犯にも好まれてしまうのでしょう。どうせ盗むなら、少しでも良いモノを。そう考える万引き犯は、非常に多いのです。

 出勤の挨拶のため事務所に出向くと、どことなく坂田利夫さんに似た小柄な理事長さんが出迎えてくれました。

「今日一日、よろしくお願いいたします。今日が初回なのですが、なにか特別に注意することはございますか?」
「魚屋と肉屋、輸入食品店の被害が多いみたいだけど、我々は運営側だから詳しくはわからないねえ。お店の人が言うには、毎日のように来ては盗んでいく悪いヤツもいるようですよ。いまのところ、毎日捕まってるから、またあるかもしれないねえ」

 どこの組織でも言えることだと思われますが、管理職の立場にある人の多くは現場を知りません。事務的な確認事項を済ませて現場に入ると、地下食品街は多くのお客さんであふれていました。人込みに紛れて店内の構造を確認すれば、出入口が多数あり、隣接する駅や百貨店にまで直結しています。それに加えてエレベーターやエスカレーター、階段まであるため、実行後の万引き犯が辿るルートの予測はできそうにありません。抜け場所の多い現場は見失う確率が高まり、声かけのタイミングも難しいことから、正直に言えば苦手です。

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