女のための有名人深読み週報

「杏と唐田どちらが好き?」という質問を絶賛――『とくダネ!』と小倉智昭に危惧すること

2020/03/19 21:00
仁科友里(ライター)

小倉智昭の発言が時代錯誤なワケ

 しかし、テレビに、週刊誌のような配慮はあるのだろうか?

 3月17日、東出が不倫報道後、初めて公の場に姿を見せた。杏と離婚するのか取材陣から質問が集中する中、「これ以上、妻を傷つけたくありません」という理由から、「お答えできません」という回答に終始していた。そんな中、ある女性レポーターが「杏さん、唐田さん、どちらが好き?」と質問し、東出が「妻」と答えず「お答えできない」と言ったことが、ネットで話題になっている。「杏」と答えれば、「それなら、なぜ不倫したのか?」と言われてしまうから、うかつに答えられないだろうし、そう答えることで、「やっぱり、唐田をもてあそんだ」という意見が起こらないとも限らない。東出の答えは、そういった意味で「正解」と言えるだろう。

 翌18日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)では、司会の小倉智昭が、この質問を「芸能史上に残ります」と絶賛していた。しかし、この質問は本当に必要だろうか? 今更こんなことを聞いて、何の意味があるのだろうか?

 東出は今、芸能人として一番の危機を迎えていることは間違いないだろう。がた落ちした好感度を、これ以上下げたくないだろうから、どんな失礼な質問も我慢して答えなくてはいけない。不愉快な表情を少しでも見せれば、「反省していない」と言われかねないからだ。

 弱っているときにつけこむように、「杏と唐田どちらが好き?」というきわどい質問をすることを良しとした小倉は、これを「面白い」と思っているのかもしれないが、そういういじめのような論理がまかりとおるのは、情報源がテレビだけだった時代ではないだろうか。「悪いことをしたから」を理由に、調子に乗って芸能人を追い込むと、「文春」が抗議にさらされたように、SNSから批判の声が上がり、今度は怒りの矛先が、番組や小倉本人に行く可能性があることに気づいているのだろうか?

 ちなみに小倉と言えば、かつて『とくダネ!』でコンビを組んでいた女優・菊川怜の結婚相手である実業家男性と食事をし、「いい男」「こちらが言葉遣いに気を使わないといけないほど、きちっとしている」とベタ褒めしていたことがある。しかしその実業家男性は、2人の女性との間に、同時期に婚外子をもうけていたと「文春」が報じた。さらに、「週刊新潮」(新潮社)は、さらにもう1人、実業家男性の子どもを出産した女性がおり、彼女が養育費を求めて訴えを起こしたと報じている。小倉が何をもって「いい男」と判断したかは不明だが、もし「一代で莫大な財を築いたから、いい男」と思ったのだとしたら、それは時代遅れだと言えるだろう。「オトコは仕事さえデキれば、オンナにだらしがなくてもいい」という時代はもう終わっているからこそ、不倫がこんなに騒がれるのだ。

 小倉のこうした言動を見ると、年を取ることがマイナスだとは思わないが、ある程度は時代に沿う努力は必要ではないだろうかと感じる。そうしないと、テレビも小倉自身もどんどん「過去の遺物」に成り下がっていくように思えてならない。

仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2020/03/26 18:51
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