ZOZOの次なる一手

「ZOZOMAT」はサイズ計測精度向上? ”あの”スーツの悪評判を払拭し、靴専門モール「ZOZOSHOES」は成功なるか

2020/03/22 16:00
南充浩

靴購入はサイズが命――「ZOZOMAT(ゾゾマット)」の計測精度は?

 さて、そんなゾゾマットの計測精度を考察していきたいと思います。皆さんは以前発表され、不評の結果廃止となった採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を覚えているでしょうか。これは、スーツにプリントされた水玉柄のマーカーを読み取ることにより、体型サイズをミリ単位で正確に計測する技法が用いられていました。ゾゾマットは、ゾゾスーツと基本的な仕組みは同じだと言えますが、ゾゾマットの方が、計測精度は高いと思われます。

 ゾゾスーツは、計測サイズに誤差が頻繁に起きたと言われており、その理由は、水玉柄のマーカーが着用時にズレたり伸びたりしてしまうからだと考えられます。もし、ゾゾマットが水玉柄のマーカーをプリントした「靴下タイプ」だったら、同じように計測ミスが頻発されたと推測できるのですが、実際のゾゾマットは、先述した通り、印刷された紙を床に置き、そこに足を乗せるタイプなので、マーカーの位置がズレる心配はほとんどありません。ですからサイズの計測ミスがスーツに比べて低くなると考えられるというわけです。

 そもそも靴は、洋服以上にサイズが命。というのも、靴は5ミリでサイズピッチが刻まれていて、5ミリ小さいだけでも足入れさえできなくなるため、ミリ単位の正確な計測が求められるのです。思い返せば、ゾゾスーツも「ミリ単位の計測」を謳っていましたが、結果的に計測の誤差が多発。顧客の信用回復という意味でも、ゾゾマットではさらに高い計測精度を実現させなければいけなくなったとも言えます(ちなみにゾゾスーツに関してですが、はっきり言って、ほとんどの衣服にミリ単位の精度は必要ありません。なぜなら生地は伸びるから。1~2ミリの差なんて、服でいうなら許容範囲の誤差でしかなく、当初からその狙い自体がズレていたとしか言いようがありません)。

 ZOZOサイドも、精度向上は必須という認識だったようで、同社の伊藤正裕取締役COOは、国内・海外の最新ファッションニュースを配信する「WWDジャパン」のインタビュー記事で、「技術検証は6万回、時間にして延べ5000時間と、時間も手間もかなりかけたことも遅れた原因だ」と語っています。見切り発車感の強かったゾゾスーツとは雲泥の差です。加えて、靴ではPB(プライベート)は作らないことも明言しているのですが、これもゾゾスーツと連動させたPB服が、まったく売れなかったことへの反省が生かされていると言えます。

OD>流通新大陸の覇者ZOZOTOWN
MATよりMATTに目が行く公式サイト
アクセスランキング