インタビュー

なぜファッション業界は「セクハラが多い」のか? ストライプ社トップの騒動は「珍しくない」

2020/03/22 14:00
サイゾーウーマン編集部

ストライプ社セクハラ問題、「ファッション業界では珍しくない」

 海老澤氏は、石川氏のセクハラ報道を受け、率直にどのように感じたのだろうか。「石川氏個人のことを存じ上げているわけではなく、また今回の一件についても、報道されている以上のことはわからないのですが」と断った上で、次のように述べる。

「ファッション業界は体質が古く、こうしたセクハラ問題はさして珍しくはないのではないかと思いました。おそらく世に出ていないだけで、こうしたケースは多く、今回の報道も『出るべくして出た』という印象です」

 これまで海老澤氏が見聞きしたファッション業界のセクハラ事例でいうと、男性の上司から執拗にご飯に誘われるなど、プライベートでの交流を求められるケースはよくあるといい、一方で「パワハラも多く、上司から怒鳴られるといったことも。こうしたセクハラやパワハラを会社に訴えても、うやむやにされて配置転換などの対応を取ってもらえず、被害者が会社を辞めざるを得なくなったというケースもよく耳にします」という。

「報道された内容が全て事実かどうかはわかりませんが、石川氏本人が『セクシュアル・ハラスメントと誤解を受ける行為や従業員との距離のとり方等について、厳重注意を受けました』という文書を公表しています。女性社員やスタッフに対して、LINEで誘いのメッセージを頻繁かつ執拗に送っていたというのが事実であった場合、さすがに『処分なし』というのは軽すぎるでしょう。これはファッション業界に限ったことではありませんが、日本はセクハラに関する認識が非常に甘いと感じましたね」

 今回の報道を通じて「誘っただけではセクハラにならない」と認識している人は少なくないのでは……と危機感を覚えたという海老澤氏。そもそもセクハラとは、労働者が不快に感じる性的な言動が行われ、それに応じない場合に不利益を受けること(対価型)、労働者の業務に悪影響が出ること(環境型)とされている。ケースバイケースではあるものの、例えば今回のように社長と部下という関係性を背景に誘う場合、誘われた側の女性は「断ると社内での地位が危うくなるかもしれない」など不利益を受けることを恐れ、心理的負担を感じるだろう。この場合、企業はその女性が快適に仕事ができる職場をつくるという「男女雇用機会均等法」上の義務に反することになる。

 また、もし誘われた女性側が精神的に不安定となり、実際に精神科や心療内科に通わなければいけなくなるなどの不利益を被ったり、休業や退職を余儀なくされた場合は、民法により、女性はセクハラを行った人物と会社に対し、不法行為責任を問える可能性があるという。加えて、もし体を触られた、同意のない性行為を強要されたといったことがあった場合は、刑法上の問題になる可能性もある。このようにセクハラは、法的責任を問われる重大な問題なのだ。

マスコミ・セクハラ白書
マスコミ業界にも通ずるお話でした
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