ホラー女王・犬木加奈子先生インタビュー【前編】

「たたりちゃんは私だった」犬木加奈子が回顧する“少女ホラー全盛期”と“いじめの実態”【『サバイバー』インタビュー前編】

2020/03/04 17:00
有山千春(ありやま・ちはる)

「めでたし」じゃない世界

――友達代わり……だからたたりちゃんって、寄り添うような優しさがあったんですね。いじめられて「たたり~!」と言いスカッと勧善懲悪かと思いきや、いじめる側に対する優しさもあって、単純な“スカッと”ではないところが、大人になった今読んでも面白く読める一因です。

犬木 見え透いている、いかにも作り物のような世界に、昔から不信感を抱いていましたからねえ。「めでたし、めでたし」ではない物語が好きだったんです。だからデビュー当時は、「犬木の漫画は後味が悪い」とはよく言われましたね。

 たたりちゃんは、「たたり~!」をやったあと、反省するんです。それはまさに、当時描きながら悶々としていた自分の姿だと思います。読者の方たちに「仕返しが正義だ」と、物事を短絡的に見てほしくないなと思っていましたから。「仕返しなんて本当はいけないことだよね。わかってる、わかってるんだけどさ……」というたたりちゃんのやるせなさが、読者に響いたのかもしれませんね。

『不思議のたたりちゃん』(C)犬木加奈子(電子書籍版・2巻より引用)

――読者からはどんな反響がありましたか?

犬木 連載で回を重ねるごとに、子どもたちからのファンレターが段ボールで届くようになりました。漫画に対する感想のほかには、「わたしは隣の席のみきちゃんとけんかをしてしまって」など、事細かに自分の悩み事が5、6枚にわたって綴られている手紙も多くて、「子どもたちは話を聞いてくれるお姉さん的存在を求めているのかな」と気づいたんです。それからは、“お姉さん”を貫くために年齢不詳にしました。実際には彼女らの母親と同世代でしたが、それだと子どもたちは、説教を食らっていると感じてしまうかもしれないから、ね。

――連載雑誌は王道の少女漫画誌『少女フレンド』(講談社)ですが、『たたりちゃん』は異彩を放っていました。

犬木 だからわたし、コンプレックスが強いんですよねえ。清く明るい“お少女漫画”のほうが、普通にイメージがいいですからね。『たたりちゃん』のネーム持ち込みも、「講談社で連載は無理だろうな」と思い、最初はほかの出版社に持ち込んだんです。でも軒並み「これはちょっと」と敬遠気味でした。当時のわたしは、『サスペンス&ホラー』(講談社)の連載陣であり89年の創刊時から表紙を描いていて、他社からも毎日のように仕事の依頼がある状況で、なにがなんだかわからないほど忙しくて、「このわたしが描いてあげるのに、どうして断られるの!?」と、思い上がっていたんです(笑)。

 当時のわたし、すごかったんですよ(笑)。担当編集さんから、「講談社の本の中で、5本の指に入る売り上げ」だと言われたこともありました。『サスホラ』の創刊号なんて、実売率が99%だったそうです。

――99%!? 何万部くらい売れていたんでしょうか?

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