山岸純弁護士に聞く

メルカリが無法地帯!? コロナパニックで「エタノール」「スピリタス」転売の違法性を、弁護士解説

2020/03/01 16:00
サイゾーウーマン編集部
himawariinさんによる写真ACからの写真

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、先ごろからマスクが品薄状態となり、「メルカリ」などのフリマアプリや「ヤフオク!」などのオークションサイトで、高額転売される事態になっている。そんな中、感染予防に「消毒」が重要視されていることから、消毒用エタノールにもマスクと同様の問題が浮上。さらには、アルコール度数96度というウォッカ「スピリタス」を消毒液の代替品にする流れもあり、こちらも転売が散見されるようになっているのだ。

 新型コロナウイルスに対する恐怖心につけ込む高額転売には、ネット上で批判の声が続出しているが、中には「違法性があるのでは?」といった疑問の声も出ている。というのも、消毒用エタノールは「医薬品」というイメージがあるため、「それを転売するのは問題ないのか?」と言われているのだ。また、酒類の転売も違法性が疑われる中、今回その実際を、山岸純法律事務所の山岸純弁護士に聞いた。

 まず、「医薬品」と一口に言っても「医療用医薬品」「要指導医薬品」「一般用医薬品(第一類、第二類、第三類)」があると山岸氏。これらは、「薬機法第24条によって、許可がない限り『転売』もできません」とズバリ指摘する。

「許可がないのに、医薬品を転売した場合、薬機法第84条により、3年以下の懲役や300万円以下の罰金という重い罪が科せられます」

 しかし、「医薬部外品」とされているものは、このような許可がなくても「転売可能」。エタノールには製品によって、「医薬品」のものと「医薬部外品」のものがあり、現状メルカリに「エタノール」として出品されているものには、その判別がつかないものも少なくないが、一歩間違うと、出品者は罪に問われることになるようだ。

 一方で、消毒液の代替品として、アルコール度数の高い酒が転売されている件についてはどうだろう。山岸氏いわく、「自分で飲むつもりで購入した酒類を、たまたま転売するような場合は違法ではありません」というが……。

「インターネットなどで、繰り返し繰り返し転売しているような場合は、アルコールの転売を『業』として行っていると考えられます。そのため本来、税務署に申請し、審査を受けて、『酒類販売業』の免許を取得しなければなりません」

 免許がないのに酒類を転売した場合、酒税法56条により、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます」というだけに、新型コロナウイルス感染拡大のパニックに乗じ、こうした酒類を何度も転売していると、法に触れる可能性が出てくるだろう。

 また「メルカリ」や「ヤフオク!」でこういった製品を購入する側も、注意が必要と山岸氏。

「『エタノール』に似たものとして、毒性のある『メタノール』があります。高額転売している輩は、免許もない素人でしょうから、間違って『メタノール』を販売してしまっている……そんな危険性も否定できないでしょう。やはりプロがいる薬局で買うに越したことはありません」

 何よりもまず、マスクも含め、消毒用エタノールの品薄状態が解消されること、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうことを祈りたい。
(解説 山岸純弁護士/取材・文 サイゾーウーマン編集部)

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最終更新:2020/03/01 16:00
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