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メンタルの問題を公表したセレブたち――うつに悩んだビヨンセ、不安障害を抱えるケンダル、摂食障害に苦しむデミ

2020/03/20 18:00
堀川樹里(ライター)

飛行機やスケジュールに不安を抱く、ケンダル・ジェンナー

お騒がせ一家の中で、比較的常識的なケンダル

 いまやトップモデルの一員となったケンダル。世界を股にかけて活躍する彼女だが、2018年、家族で出演しているリアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』で、母親でマネジャーのクリスに「飛行機を降りたい」と泣きついている姿を見せ、世間を驚かせた。

 ケンダルは、飛行中にパニック発作を起こし、クリスにテレビ電話をかけた。「飛行機に乗っていると頭がふらふらする。失神しそうになるの」「みんな『大丈夫だよ』って言うんだけど。私自身は大丈夫だなんて感じられないのよ」と訴え、不安障害からパニックを起こしたという。

 彼女は、小さいころから健康なのに「病気ではないか」と心配する心気症だったとのこと。成長にするにつれ症状は薄れてきたが、16年にフランス・パリで異父姉キム・カーダシアンが拳銃強盗に遭ったことがきっかけで、不安障害を発症。その後、自宅に泥棒が入ったり、待ち伏せしていたストーカーに追いかけられたりと立て続けに怖い思いをしたことから重症化。「だから、あまり外出しなくなった。Twitterやインスタグラムもあまりやらなくなった。やってるだけで不安になっていくから」とクリスに訴えていた。

 雑誌のインタビューでもメンタルの問題について赤裸々に語っており、18年1月に米誌「Harper’s Bazaar」のインタビューで、「衰弱性の不安症持ちなの。精神的に追い詰められると、真夜中にパニック発作を起こして目を覚ましてしまう」「どうしていいか、わからなくなる。何が原因かわからなくなるほど」と語り、ファンを心配させた。

 その後、受けた米誌「Love」のインタビューでは、18年2月末~3月頭に開催されたパリ・ファッション・ウィーク(2018/19年秋冬パリコレクション)に出なかった理由について、「ロスで仕事をしていて、“あぁ、もうだめだ。このままだと自分がおかしくなってしまう”と思った」と説明。6月にはミラノのメンズ・ファッション・ウィークのランウェイを歩いたものの、「崖っぷちの精神状態だったから」いつでもキャンセルできるようにしていたのだと明かした。

 ケンダルは、“体の上に置いて鳴らすおりんの音で精神状態を整える”というサウンド・バスやはり治療、座禅を組み20分間マントラを唱える超自然瞑想など、不安症やパニック障害を乗り越えるためのさまざまな方法に挑戦しているという。

人気上昇中にうつ病を告白したリリ・ラインハート

 今も昔もイメージが大切なハリウッド。そのためメンタルの問題については、人気が定着した後に公にするセレブがほとんどだ。だが、リリは、若者に人気のドラマ『リバーデイル』で知名度が上がり出したころから、自身が抱える精神疾患についてオープンに語っていた。

 17年4月に女性誌「コスモポリタン」のインタビューで、メンタルな病との闘いを話すのは、恥ずかしいことではないと発言。「学校で普通に話すべきだと思う。ティーンは、メンタルに問題があること自体、特殊だと感じて『隠さなきゃ』とプレッシャーを感じてしまう」といい、もっとオープンになるべきだと訴えた。

 19年11月、英誌「Glamour」では、「私はうつ病と不安症を抱えている」「やる気がまったく起きない日があるの」「ストレスとうまく付き合えない」と、今も苦しんでいることを明かした。「自分の経験をシェアすることで『私だけじゃない』と認識する。自分にとっては素晴らしいセラピーだわ」と、今どき時の若いセレブらしい発言をし、話題を集めた。

 重度の社交不安障害に見舞われたことがきっかけで、10代のころからセラピーに通っているというリリは、「学校がダメで、毎朝行く前に泣いていた。でもセラピーを受けて、いろんなことが理解できるようになった。問題をどう解決するかを学び、つらい気持ちが軽減された」「私はクレイジーじゃない。問題は私じゃないんだと思えるようになった」と、セラピーで自信をつけることにより症状が改善されたとも明かしている。

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