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レーザー妊活、子宮の冷え…妊活雑誌はトンデモ健康法の無法地帯

2020/02/25 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 2月14日のバレンタインデイを「ふんどしを贈りあう日」とする日本ふんどし協会の活動が、NHKでとりあげられたようですね。しかも、番組を見ていた当連載の担当編集によると、西武百貨店が「通常の下着は締めつけが強く、生理不順などの原因になる」的なことを説明したとか。2016年にもこのてのおしゃふん(別名ふんパン)にはツッコミを入れさせていただいていますが、血流を妨げるほどサイズのあわないゴム入りパンツをはいている人が、どれだけいるんじゃい。

▽参照
「おしゃふん」が女性を健康に? ベストフンドシストに矢口真里まで担ぎ出したふんどし業界の詭弁マーケティング

 このおしゃふん案件で、2018年の夏を思い出しました。妊活雑誌『赤ちゃんがほしい』(主婦の友社)、略して「赤ほし」が付録につけていた「子宮イキイキ夜ふんパンツ」なる珍品のことです。

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かあさん、僕のあのおしゃふん、どうしたんでせうね?
ええ、夏、赤ほしで
妊活沼へ落とされた あのおしゃふんですよ。

レーザー妊活でスーパーレディに!?
 ……最近は、自称霊能者たちの「アタイが卑弥呼」騒ぎに心を奪われ、すっかりあの沼を忘れかけていました。「巡りUPで子宮イキイキ! 夜ふんパンツ」。「夫婦でタイミング砲!」などのキラキラした元気を振りまいていた「赤ほし」は、今!?

 2年ほど妊活雑誌を見ていなかったので、まずは『赤ちゃんが欲しい』2019年の夏号あたりから、拝読してみました。大特集1は「授かるSEX最新ウソ・ホント」。攻めてますな~。巻頭では、有名人である妊活女子が「ベビ待ち」である胸の内を語るインタビューです。そこにあのお騒がせブロガー、はあちゅう氏が!

 最近ではニセ医学である血液クレンジングを宣伝して炎上したことで、インフルエンサー(自称)ばかりが叩かれる! とプンスカしているようですが、この当時といえば「妊活宣言のからの、実はすでに妊娠していたんじゃ疑惑」で巷を騒がせていた頃でしょうか。ちなみに同書は夏号と表記はあるものの、発売は2月15日。はあちゅう氏が妊活宣言をしたのは確か1月10日でしたから、その後ダッシュでインタビューしたのか? そしてその後、ご懐妊のニュースは翌月の3月。あ~ら、なんだか出来過ぎだわ。

 『赤ちゃんが欲しい』2019年夏号で、はあちゅう氏はこんなことを語っていました。子どもを持たない人生になるかもしれない不安。一方、妊活にあまり真剣に取り組んでくれない夫。それでも公言したことで、同じ妊活仲間がいることがわかって心強い! なる締め。もしこれが出来レースですでに妊娠している状態だったら、なんという茶番なのか。妊活界で、プロレス(段取りが決まっている興行)を繰り広げるとは、貴重なものを見せていただきました。このインタビュー記事は、同誌Web版でも読むことができます。

 さて、この件はあくまで前菜。筆者基準のメインディッシュは「レーザー妊活」です。不妊治療は血流がカギ。それには首からレーザーを照射して脳の血流を促すことから! なる治療が紹介され、この治療で妊娠したという体験者が「レーザー妊婦」として登場しています。この治療が妊活に本当に効果があるかどうか? は、素人の私にはよくわかりませんが、これを推す医師とレーザー妊婦のトークに、トンデモの風を感じました。

「レーザーで脳の血流を30%アップさせると130%のスーパーレディになり、全身の血流がよくなるんだから元気になりますよ(笑)」と医師が語ると、体験者は「最初の施術を受けたあと、Hな夢を見た」なる報告が飛び出す。すると「夢の形で効果が表れた」「女性の本能の部分がよみがえってきたんだと思いますよ」と喜ぶ医師。

 ……妊活に、いるのかコレ? このページのキャッチもすごかった。ーー「レーザーで女性本来の力を取り戻し、美しく! 自然にお互いを愛しいと思う授かり体質に」。「女性本来」という単語が出てくると、私の中のトンデモセンサーが発動しますよ~。

 ほかにも広告ページでも何かすごいものを見かけた気がしますが、雑誌というものは広告収入なくして成り立ちませんので、そこはスルーしておきましょう。

ベビ待ち、妊婦周辺は呪いがいっぱい
 さてお次は2020年冬号です。『赤ほし』は子宝を謳う神社をめぐる旅を特集したり、子授け祈願で有名な鬼子母神にまつわるデザインをお守りカードにした付録をつけたりと、「神頼み」もふんだんに盛り込むのが特徴。それゆえ、占い師も度々誌面に顔を出しています。

赤ちゃんが欲しい2020冬
 この号でかり出されたのは、Love Me Do(ラブちゃん)。妊活と目にみえない世界との関わりかたを、こうコメントしています。

「占いや風水はできる範囲で取り入れてほしいと思います。2019年は神頼みがいいという話をしましたが、神社の鳥居は女性の子宮を表します。生命は水と切っても切り離せないので、手水で手を洗うことは妊娠を呼び寄せるのに絶好だと思います」

 子宮は神社! ま・だ・い・う・か~。もうそれ、何周目。神社の構造に生殖を見出だすご意見があってもいいと思いますが、さぞそれが「当然」のように語られてもなああぁ~。女性器崇拝が子宮系女子をはじめとするキラスピ界で悪用されるのは、こういう適当な「それっぽい解説」が諸悪の根源です。

 知人の神職に「相変わらずこんなこと言っとりますぜ」とタレこんでみたところ、「神道は、言葉のゴロ合わせが多いのは確かです。なので『産道は参道』とか言い出す人がいるのも理解はできなくもありません。ただ、鳥居が子宮を表している!とまで言い出すと、さすがに大上段から言い過ぎでしょう」とのこと。そりゃそーだ。ついでに「そういうのを『熱心な崇敬者』と勘違いする神社関係者がいると、やっかいです」だそうですよ。

 ちなみに「赤ほし」は一にも二にもひたすら「温活」。誌面のそこここに「子宮の冷え予防は布ナプキン」「湯たんぽで体の芯から冷えない体になった」「授かりやすい発熱ボディ」など、女体温暖化推進ワードがちりばめられております。これもまた、いい加減食傷気味っす。

 妊活雑誌は相変わらずや……! と白目をむきかけましたが、もう1歩進んだ妊婦雑誌はどうなんだ? と同社の『安産Pre-mo』(主婦の友社)もチェック。

Pre-mo2020年02月
 ああ、こちらでも「母乳にいいのは粗食!」やら「骨盤のゆがみが~」やら、根拠なき情報がチラホラ。でも何がイラついたかって、里帰りする人のための「やっておくことLIST」がNo.1でしょう。「留守中の夫のケア&フォロー」「夫の父親力を養っておく」。それ、妻の仕事なの?

 今回つい、突っ込みどころが多いものを取り上げた結果がこうなりましたが、トンデモが嫌いでも、決して赤ほしや主婦の友社が嫌いなわけじゃないんです~。そこんとこ、どうぞよろしくお願いします。

最終更新:2020/02/25 20:00
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