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ナタリー・ポートマン、#MeToo立役者からの「フェイク」批判に声明! 「常識ある」と声援高まる

2020/02/14 18:43
堀川樹里(ライター)

ナタリーの反論は……

 「あなたのようなA級女優たちが立ち上がれば世界が変えられるのに、起こすのは問題ばかり。そうよ、ナタリー、あなた自身が問題なの。リップサービスすることが問題なのよ。ほかの女性たちへの“フェイク”なサポートが問題なわけ」と、ナタリーのことを口先ばかりと糾弾し、「私は報酬をもらわずに、女性が権利を得られるよう、変化を求めて声を上げ続ける。それが活動というものなのよ」「あなたやあなたと同じような女優のみなさんが本気になれるまでは、刺繍入りの抗議活動ケープをハンガーにかけておいてくれる? 目障りだから」と激しい言葉で締めくくった。

 ハーヴェイとの裁判や暴露本『Brave』を発売した彼女としては、リスクのないナタリーの行動は「カッコ付け」で迷惑なだけだと感じたようだ。

 このローズの声明を受け、ナタリーはすぐに英「BBCニュース」などのメディアに向けた声明を発表。

 「女性の名前が刺繍されたケープを着ることは、別に“勇敢”ではないという点については、マッゴーワンさんに同意します。勇敢とは、この数週間、信じられないほどのプレッシャーのもと、ハーヴェイ・ワインスタイン裁判で証言している女性たちにこそ、ふさわしい言葉なのだから」と前置きした上で、「ここ数年、多くの人が改善を求める声を上げてくれたことにより、女性も監督を務める機会を得ることが増えてきました」「私が長いキャリアの中で出演した女性監督の作品が数作しかないのは事実。マリア・コーエン、ミーラー・ナーイル、レベッカ・ズロトヴスキ、アンナ・ローズ・ホルマー、ソフィア・コッポラ、シリン・ネシャット、そして私自身の監督の下で、短編映画やCM、ミュージックビデオ、長編映画を撮影してきました。お蔵入りの作品もいくつかあります」と、自分を含めた2人の女性監督とだけしか仕事をしていないわけではないと反論。

 「女性監督が映画を撮影するに当たっては信じられないほどの困難がある。製作資金を集めるのに苦労し、撮影できることになっても、撮影中にたくさんの壁にぶち当たることになる。プロジェクトに採用してもらえるよう私が手助けした女性監督たちが、その後突きつけられた条件や状況により辞退するはめになった、なんてことも見てきた」「作品が完成しても、映画祭への出展、配給ルートの獲得、評価を得ることにも苦労する。どの段階においても、行く手を阻む存在がいるから」と女性監督が直面している問題や現状を嫌というほど知っていると主張し、「私が言いたいのは、私なりに変化を求めて挑戦してきたし、これからも挑戦していきたい、ということ。まだ良い結果は得られていないけど、私たちは“新しい日”に向かって歩んでいるという希望を抱いているわ」とまとめた。

 この2人の発言に、ネット上は「ナタリーは同じ土俵で戦わず、自分の意見だけをちゃんと主張して好感が持てる」「常識があるのは、どう考えてもナタリーのほう」「一人ひとり、自分ができることをやる。それが運動なんじゃないの? それを批判するローズのほうが問題」と、ローズへのネガティブな意見が多い。その一方で、着実にキャリアを重ねているナタリーが、今後監督としても成功を収めることが女性の権利の向上にも一役買うと信じて、彼女への声援が高まっている。

 女優としてのナタリーは、気鋭のカナダ人映画監督グザヴィエ・ドランの初の英語映画として注目されている『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』に出演。日本では3月13日に公開予定だ。

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2020/02/14 18:43
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