薬剤師が忖度なしにジャッジ!

睡眠・快眠サプリ「ドリエル」「グリナ」「ナイトサプリ」ほか……薬剤師が「飲んでも意味がない」判定

2020/02/21 19:00
宇多川久美子(薬剤師)
セーレムさんによる写真ACからの写真

 処方薬として30年近く発売されている睡眠導入剤の「デパス」。深刻な副作用や依存症の実態が、昨今明らかになったことで注目を集めているが、一方で、近年はコンビニでも安眠を謳うサプリが販売されるほど、「眠り」の需要は伸びているようだ。

 では、あまたある「睡眠・快眠サプリ」の中で、選ぶならどれで、選ぶべきではないのはどれか? 今回、ドラッグストアやネットで購入できる売れ筋の「睡眠・快眠サプリ」を10点抽出し、第二類医薬品、機能性表示食品、そのほかの3部門で分類。それらを『睡眠薬 その一錠が病気をつくる』(河出書房新社)などの著書を持つ薬剤師・宇多川久美子氏にチェックしてもらった。

医薬品は特色ナシ:「ドリエル」「ネオデイ」「リポスミン」

左から「ドリエル」エスエス製薬「ネオデイ」大正製薬「リポスミン」皇漢堂製薬

 これらはいずれも抗ヒスタミン薬。くしゃみ、鼻水、花粉症といったアレルギー反応を抑える薬なんです。花粉症の薬などは「飲むと眠くなるので気を付けてください」と言われますよね。その眠気を利用したものです。だから、抗ヒスタミン薬を飲んでも眠くならない人は、これらを飲んでも眠れません。

 ちなみに、抗アレルギー剤の第2世代は眠気が出にくいので、このタイプは“古い”タイプ。それがなぜお薬として売られているかというと、成分のジフェンヒドラミンは原価が安いから。抗ヒスタミン薬「レスタミンコーワ」は、じんましんや湿疹の治療薬として、アマゾンで120錠809円で売られています(2月17日19時現在)。1粒にジフェンヒドラミン10mg配合なので、5粒飲めばドリエルと同等。5粒×24回分を809円で買えるんです。でも「ドリエル」は3回分で約1,000円。同じ薬なのに、パッケージに寝床につくネコのイラストや眠りに関するコピーを書いただけで、こんなに高く売れるんですよ。

 「ドリエル」「リポスミン」「ネオデイ」の添加物を見ても、それぞれ特色は見られません。違いがあるなら、錠剤の大きさや溶け方くらいですね。ただ、人によって「リポスミンは全然効かない。やっぱりドリエルだよね」という人もいるでしょう。それは気持ちの問題。プラセボ効果です。ちなみに、これらは「睡眠改善薬」であり、処方される睡眠薬や睡眠導入薬とはまったく違います。

機能性表示食品は寝れたらラッキー:「グリナ」「ネルノダ」ほか

上段右から時計回りに「テアニン快眠粒」DMJえがお生活「ネルノダ 粒タイプ」ハウス食品「グリナ」味の素「快眠サプリ」ORIHIRO

 これらに配合されているGABA、グリシン、テアニンは体に必要なアミノ酸なので、安心ですね。いずれのアミノ酸も「心を穏やかにする」「落ち着ける」ようなものです。しかし実際、これら3つが安眠にどう働くのかは疑問符がつきます。

 いずれのアミノ酸も、盲検の結果「すっきり寝れた」「安眠がもたらされた」とのデータがあるものだとは思うのですが……。個人的には、コレで眠れるなら「ラッキーだよな」と。ネットにある購入者の声や口コミによるプラセボ効果が多大に影響していると思います。

 そもそもアミノ酸は食べ物で摂取できるので、食事で食べたほうがいい。ちなみに機能性表示食品は、「消費者庁に届け出たもの」であり、疾病の治療、予防を目的としたものではありません。健康機能があるトクホとは異なります。これら製品サイトにも書かれていますけど、“飲めば解決”ではなく食生活の改善も必要ですよ。

睡眠薬 その一錠が病気をつくる
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