【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

「セックスはいまだにガッツリ」だけど……50代女性が語る、“30年以上”に及ぶ婚外恋愛の終え方

2020/02/01 16:00
いしいのりえ

「パパとママは性別が逆」娘からの言葉

 智美さんが今のご主人を結婚相手に選んだ理由は「穏やかな家庭を築けると思ったから」だそうだ。仕事関係で知り合った今のご主人は同い年で、彼と別れる前後に知り合い、交際を始めたという。

「体育会系でガンガン来る彼とは違って、牧歌的で明るいところに惹かれました。子どもたちも、私より旦那の方が好きだと思いますよ。仕事人間の私とは違って、旦那はそこそこ働いて、そこそこお金を稼いで、趣味や楽しい休日を過ごしたいタイプ。娘も息子も大学生なのに、今でも私抜きで、それぞれの恋人を交え、旦那とキャンプに行ったりしてます。今では私たちのような夫婦も珍しくないでしょうが、昔は娘に『パパとママは性別が逆に生まれてきちゃったね』なんてよく言われてました」

 そんな智美さん夫婦だが、年に一度は、夫婦水入らずでタイに旅行に行くそうだ。

「新婚旅行で行ったタイに魅了されてしまって。今でも一緒に行きます。旦那のことは嫌いじゃないんですよ、むしろ大好き。彼とは違う意味で『好き』なんです」

 彼とこんなに長い間不倫関係を続けてきたのは、「結局、仕事を頑張るためなんだと思う」と智美さん。設立当初から同じ会社にいて、会社を大きくするために働き続けた同士として、彼の存在は絶対的なのだという。

「今となっては『割り切った関係』に見えるでしょうが、30年間、家庭を持つ身でありながら、彼への思いが募ることに、悩む日も少なくありませんでした。彼が同性だったら……って、数えきれないほど想像しましたよ。そしたら私たちは大親友で、戦友で、体なんて重ねなくてもわかり合える関係になれたんだろうなって。恋愛感情なんてなければよかった。そしたら、こんなにつらくなることはなかったんです」

 智美さんは最後に、人生設計の1つとして、「定年退職を機に、彼からも卒業をすること」を付け加えた。その言葉に、智美さんの中で30年間渦巻き続けた“背徳感”を垣間見た気がした。
(文・イラスト/いしいのりえ)

最終更新:2020/02/01 16:00
婚外恋愛/亀山早苗
旦那さんがいたから30年以上続けられたのかな
アクセスランキング