「元極妻」芳子姐さんのつぶやき70

元極妻が考える2020年の山口組抗争――「特定抗争指定暴力団」指定で激化?

2020/01/05 16:00
待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

山口組が「特定抗争指定暴力団」に指定

皆様、新年あけましておめでとうございます。
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本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、暮れになって、六代目山口組と神戸山口組に対する「特定抗争指定暴力団」の指定が報道されましたね。両組織の拠点がある兵庫県と大阪、京都、愛知、三重、岐阜の6府県の公安委員会による指定です。

 発効は1月7日なので、そろそろですね。指定の更新は3カ月ごとですが、しばらくは続くのでしょうか。ちなみに初の指定は、2012年12月、福岡に拠点のある道仁会と九州誠道会(現・浪川会)に対するもので、14年6月に解除されています。

ボディガードはどうやって親分を守る?

 この「特定抗争指定暴力団」の指定のポイントは、行動が厳しく制限されることです。繁華街などの決められた「警戒区域」に5人以上で集まったり、敵対組織の事務所に近づいたりすると即座に逮捕されます。

 オットの元兄弟分は、「たまたま入った居酒屋に同じ組の者がいたとして、『偶然5人以上』になっても逮捕されるんやけど、そんなんまずないわ」と笑っていました。そもそも、敵対組織の事務所へ不用意に近づくこともないですしね。事務的な会合も事実上できなくなるので、若い衆はむしろラクなのだとか。それ以上に厳しいのは「やっぱりシノギ」なのだそうです。

 もちろん問題もあります。「親分のボディガードをどうするか」ということですね。「お供をつけない親分衆」の武勇伝もけっこうありますが、実は若い衆は非常に気を使っています。人員配置も、それぞれの親分の好みや抗争の情勢に配慮して、「両脇に1人ずつ+後ろに1人+近くの見えるところに2人+遠くに2人」とか決めるわけです。知り合いの記者さんは「皇室並みの警護」だと驚いていました。これだと、とっくに5人オーバーですよね。

 つまりヒットマンにとってはかえって狙いやすくなってしまい、抗争激化を懸念する声もあります。11月の神戸山口組幹部の射殺事件ではマシンガンが使われていたことで、警察も戦々恐々のようです。こうした銃器をヤクザがそろえていて、それを扱えるヒットマンもいるということは衝撃だったのでしょうね。

 私も「持っているだけ」というなら、ロケットランチャーからイスラエルのサブマシンガンの傑作「ウジー」まで自慢半分で聞いたことはありますけど、こういうのはもうコレクションの領域ですからね。普通のガンマニアと同じ感じです。こういう高度な武器を使うかどうかは別にして、「自分は無期でも死刑でもいい。敵のトップの命(タマ)を取ったる」と思う人が出てくるかどうかです。

 ちなみに過去の抗争では、オットを含めて国内外のリゾートに「潜伏」して、むしろゆったりしている親分衆もいました。昔はそのくらいのお金はありましたからね。私は連れて行ってもらいましたが、「カノジョさん同伴」が姐さんにバレた親分もいましたね(笑)。また、潜伏先に主治医や彫師さんを呼ぶ親分も珍しくなくて、知り合いのドクターは「今は笑い話だけど、命懸けだった」と教えてくれたこともあります。今回はどうなりますかね。

神戸山口組幹部逮捕は冤罪?

 もうひとつ気になっているのが、12月の、神戸山口組の若頭代行で山健組のトップでもある中田浩司組長の逮捕です。報道によりますと、今年8月に六代目山口組の関連施設前で関係者を銃撃して、3カ月の重傷を負わせています。

 これについて、作家の宮崎学さんがまさかの「冤罪説」を唱えて話題になりました。「大幹部が枝の組織の関係者を狙う理由がない」ということですね。たしかに一理あるなと思っていたら、「特定抗争指定暴力団」の指定に先駆けた意見聴取でも、大阪府警に対して神戸山口組幹部が「(中田)若頭代行が拳銃を発射したかどうかはわからん。犯人の特定はわからん」と答えたことが報じられました。幹部も認めてないんですね。どういうことなんでしょうか? こちらは公判も近いので、ますます注目です。

待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2020/01/05 16:00
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